【感想】弱キャラ友崎くんはなろう小説を読んでいるかのようだった

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かんたん評価

オススメ度:★★☆☆☆

  • こんな作品

  • 高校での底辺である弱キャラこと友崎は、ゲームをきっかけに関わることとなった完璧美少女の強キャラこと日南からリア充になるための人生指南を受けることになる。
    課題をこなすうちに少しずつクラスと関わり始める友崎は、果たしてリア充になることができるのか


  • ここが面白い

  • ・各キャラの悩みが等身大
    ・みみみが可愛い


  • ここがちょっと気になる

  • ・設定が上っ面だけ
    ・主人公に芯が無い


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    以下、結構なネタバレを含みますのでご注意ください。

    こんな作品

    あらすじ

    人生はクソゲー。このありふれたフレーズは、残念ながら真実だ。

    だって、人生には美しくシンプルなルールがない。あるのは理不尽と不平等だけ。自由度が高いなんてのは強者の言い分で、弱者には圧倒的に不利な仕様でしかない。

    だから、クソゲー。
    あまたのゲームに触れ、それらを極めてきた日本屈指のゲーマーである俺が言うんだから間違いない。

    ――だけどそいつは、俺と同じくらいゲームを極めてなお、「人生は神ゲー」と言いきった。

    生まれついての強キャラ、学園のパーフェクトヒロインこと日南葵。
    しかも、「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」だって? 

    ……普通は、そんなの信じない。
    だけど日南葵は、普通なんて枠にはまったく嵌まらないやつだったんだ! 


    ガガガ文庫が大好きなスクールカーストもの。

    スクールカースト底辺である主人公・友崎、一方でスクールカースト最上位のヒロイン・日南葵。
    全てにおいてパーフェクトな日南が今の地位にいるのは、実は全て努力によって培われてきたものだったということで、そのための方法を伝授してもらって友崎もリア充を目指すという物語です。


    一見するとコツコツとレベル(容姿とかコミュ力的なもの)を上げて徐々にリア充になっていく(弱キャラを卒業していく)というものを想像してしまいがち。
    しかし、実際のところは「日南と会った次の日から突然リア充グループに仲間入り! そこにいるだけでみんなからの好感度爆上がりでなんか気付いたら女の子と良い感じになってたので自信がついてきました」というまるで異世界転生してチートを手に入れたようななろうっぽさ溢れる展開となっています。

    モテモテになったので自信が付いて変われましたという因果が逆転した物語なので、コツコツレベルアップ的なものを期待している人はがっかりするかも。

    ここが面白い

    等身大の悩みが描かれている

    この作品は日南から与えられる課題をクリアするというものの他に(あるいは関連して)各巻毎にヒロインの悩みやクラスで起こっている問題を解決していくという流れになっています。

    ここで描かれる悩みや問題というのが高校生にありがちな、非常にリアリティあふれるものになっています。


    努力しているつもりなのに1番に成れない


    とか、


    クラス内で起きるいじめ


    とか。


    ただ、どういうわけか友崎が絡むと途端にリアリティを失うのが非常に残念です。
    ちなみに1巻は友崎自身についての話なのでもちろんリアリティの欠片もないお話になってしまいます。
    そういうの期待している人は1巻を耐えきってください。

    ヒロインの一人、みみみが可愛い

    本作のサブヒロインである七海みなみことみみみ。
    容姿端麗で明るく活発で、陰キャな友崎にも気軽に話してくれる陰キャ界の神です。

    努力家でもあり、超が付くほど負けず嫌いで、同じ陸上部である日南のことを実はライバル視しています。


    なんかみみみを見ていると元気貰えるよね。
    友崎がクラスメイトと関われるようになったのもみみみのおかげだし。
    この作品はみみみで成り立っていると言っても過言ではないでしょう。

    ここがちょっと気になる

    上っ面だけの設定

    例えば、主人公・友崎のゲーマーという設定。
    数多のゲームを極めてきたと言う割には作中で触れるゲームはアタファミ(スマブラみたいなもの)だけ。
    そのアタファミすらも基本的には物語上プレイせざるを得ない状況でしかやっている描写がありません。


    ゲーム好きの主人公と言えば『ゲーマーズ!』という作品が思い浮かびますが、こちらはプライベートで様々なゲームをプレイしている描写があり、作品への愛も度々語られるためゲーマーと言われることに非常に納得がいきます。

    それに比べて日常にゲームが溶け込んでいない友崎がトップクラスのゲーマーとか言われてもうーん…という感じなんですよね。


    他にも、友崎がブサイクでコミュ障という設定。
    彼は物語冒頭でリア充の中村を煽り、日南に馬鹿にされたらガッツリ反論したりととてもコミュ障とは思えない饒舌っぷりを発揮します。
    その後も割とすぐにみみみやたまちゃんといったスクールカースト最上位グループ(しかも女の子ばっか!)に入り込んでしまうので、ぶっちゃけもう何もしなくていいんじゃね? 状態になっています。


    この上っ面だけの設定は主人公に限りません。
    メインヒロインの日南は誰よりも努力することによって容姿も勉強もスポーツもゲームもトップになったという設定のはずなのに、作中ではスポーツに努力時間割り振り過ぎちゃってて他のことはいつ努力してんの? という状態になってしまっています。
    “日南は天才キャラ”とすればまるっと解決するけど、そうしたら作品の根幹が崩れるっていう。


    なんというか、他のキャラは結構しっかりキャラ付け出来ているのに、最も重要キャラである主人公とメインヒロインの設定が成り立ってないってどういうことなの。

    肝心なところでリアリティを失う

    本作がファンタジー寄りかリアル寄りかで言えばリアル寄りと答える人がほとんどでしょう。
    実際にキャラクターの悩みとかクラス内でのいざこざとか多少脚色はあるものの等身大の高校生って感じでよく描けていると思います。

    …ただし、友崎と日南を除いて。


    この作品、友崎と日南が関わってくると途端にリアリティを失ってしまいます。


    様々なミッションをクリアして経験値を積んで徐々にレベルアップ! と聞くと面白そうだとな思ってしまいます。
    ところが実際のところは日南と出会った次の日にはクラスのカーストトップの仲間入り!
    2巻以降では一緒に買い物に行ったりお泊り会に出かけたりと進研ゼミもびっくりな超大成功コースへと駆け上がります。


    いやいや駆け上がりすぎだろ!


    なろうの異世界チート転生かよ。成長するってレベルじゃねーぞ。


    ちょっと想像してみてください。
    男友達すらいないぼっち男子が、ある日突然女子に話しかけ始めるんですよ。男子じゃなくて女子に!
    それ絶対やっちゃダメなやつじゃないですか!
    そんなことやっちゃったらもう学校に来れなくなっちゃうやつじゃないですか。

    それなのに、友崎は「普通のクラスメイト」みたいな対応されるんですよ。


    いや、それはおかしくね?


    西野 〜学内カースト最下位にして異能世界最強の少年〜』という作品にも、“友達0のコミュ障主人公がクラスの女子に話しかける”という本作とそっくりなシチュエーションがあります。
    こちらは非常にリアルに、その代わり心えぐるような展開が描かれています。

    まぁここまで悲しく書かなくてもいいと思いますが、本作は流石にご都合主義が過ぎるでしょう。


    “ぼっち男子がリア充になる”という課題をどうやってクリアするか、最大の難所をこんなサクッとクリアされてしまうとちょっと…。

    男友達すら居ないって普通に考えて相当やべー奴じゃん?


    他にも、ほとんど関わりのなかったはずの友崎を信頼して生徒会長選挙を手伝ってもらったり、友崎に悩みを相談したりとかなりご都合主義なところが散見されます。


    …ちなみに、本作で紹介されている「服と髪をちゃんとする」とか「表情をよくする」、「姿勢をよくする」などは恋愛アプリ攻略サイトとかによく載っている手法なのですが、これの効果って第一印象を良くするものなんですよね。
    大学進学とか出会い系で初対面を相手にする時は効果抜群だけど、学校のクラスという閉鎖された場所では既に印象が固定されてるので効果薄いんですよ。
    もちろん長い目で見れば効果ありますけど…。

    終わりに

    これがWeb小説であれば読者へのストレスを無くすためにサクサク成功していくというのはまぁ仕方ないかなと思うんですが、お金を払って買う本と考えるとちょっとどうかなというところが多いですね。
    淡々と話しが進んでいき、盛り上がり箇所が最後の方限定になってしまうあたりもなろうっぽいです。

    それでも書籍がかなりの人気を誇っている作品ということなので、どこか惹きつけるところがあるのでしょう。


    オタクがリア充に成りあがるという作品であれば、個人的には『おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!』をオススメしておきたいです。
    キャラクターはいかにも萌え系ラノベって感じですが、中身は結構しっかりしているし、いかにもオタク少年が頑張ろうとして失敗してしまいがちな内容となっていて面白いです。