【感想】暗黒騎士様といっしょ! ~勘違いから始まる迷宮攻略~は
かんたん評価
オススメ度:★★☆☆☆
とある僻地で育った青年アルバ。その身に纏うは祖父に譲ってもらった漆黒の全身鎧と真紅の魔剣。そんな彼は都会の一等地に家を建てたいという夢を叶えるべく、迷宮で栄える帝国へとやってきた。
早速迷宮と冒険に出たアルバは、そこでエルフとドワーフの少女たちに助けを求められる。
なんでも迷宮には帝国を滅ぼしかねない秘密が眠っているため、あと1年以内に攻略する必要がある。
ところが帝国は迷宮で栄えている国。迷宮を完全攻略されてしまうとその利益が消えかねないと帝国はあれこれと邪魔をしてくる。
帝国からの刺客を捌きながら迷宮を攻略していくアルバ達。果たしてその先に待つものとは。
・勘違いされ系コメディ
・主人公はそこそこTsuee系
・ハーレム
・ダンジョン攻略
「小説家になろう」にありがちな“勘違い系”、“ダンジョン型迷宮”、“最強主人公”を混ぜ合わせたような物語。前作と違って「テンプレと見せかけて…」みたいなのは無く、普通にテンプレのお話です。
以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。
こんな作品
あらすじ
「暗黒騎士様、迷宮を踏破して帝国を救ってください!」助けたエルフの少女は駆け出し冒険者アルバにそう頼み込んできた。どんな願いも叶うという迷宮には帝国を滅ぼす秘密が隠されている。帝国の民を助けたいと懇願するエルフの少女・第七皇女ルーファ。勘違いでも「女の子の頼みを断るのは格好悪いよね」と祖父からもらった漆黒の全身鎧と鮮血のごとき赤い魔剣を携えアルバは、少女たちと迷宮攻略に挑む!伝説の暗黒騎士による新たな伝説がいま始まる!?
「小説家になろう」でよく見る勘違いされ系の主人公Tuee物語です。
ただ、他の作品と違うのは
・基本的には勘違いされるけれど、味方に理解者がいる
・物語の終わりがちゃんとあるであろう
というところでしょうか。
特に、この手の作品はだらだらと続いてしまう傾向が強いため、“物語に終点がある”というのは大きな違いと言えるでしょう。
この作者の傾向から見るに恐らく5~6巻で締めくくられると思われます。
ここが面白い
わかりやすい内容
テンプレ的な要素にわかりやすい敵。
微妙に隠されているけれど容易に想像できる主人公の境遇。
本作は難しい用語だとか見慣れない要素がほとんどないため、頭を使う必要がなく気軽に読むことができます。
また、ストーリーの展開も凝ったものではないため、概ね予想通りに展開され、期待を裏切られる心配がありません。
ここがちょっと気になる
主人公が理解され過ぎ
全身を真っ黒なフルプレートで覆い、フルフェイスの兜で顔も見えない。
その上言葉が少ないために何かと誤解をされてしまいがちな主人公。
そんな彼のことを理解してくれるキャラが2名ほど存在するのですが、その理解度があまりにも高すぎて作品の良さを完全に殺してしまっています。
どれくらい理解しているかというと、主人公が一切しゃべらず地の文で書かれる心の中で思ったことまで一切誤解することなく理解してしまいます。
心読んでるとかそんなレベルじゃねーし!
こういう作品って理解されないからこそ面白いと思うんだけど。
更に、ここまで理解しているキャラがツッコみ入れてくれているのにそれでも勘違いしてるキャラとかただの馬鹿じゃん。
作者自らが作品の特徴を台無しにしてしまっているのは残念でなりません。
俺Tueeeが中途半端
未だかつて人類の誰もが倒せない強敵・暗黒騎士。
その暗黒騎士とそっくりな装備をしており、並外れた実力を持っている主人公。
さぞや圧倒的な俺Tueeeを見せてくれるんだろうなと期待していたのですが、実際に無双してくれるのは1巻の中盤まで。
それ以降はなんか地味に苦戦する場面が多くなり、3巻ではまさかの雑魚敵にすら工夫をしないと勝てない始末。
うーん、この作品は別に主人公苦戦しなくていいと思うんだよ。
しっかりとした冒険ものを読みたい人には色々物足りないし、俺Tueeeを望んでいる人にも物足りない、非常に中途半端なものになってしまっています。
終わりに
うーん、前作の『女神の勇者を倒すゲスな方法』が面白かったために期待してしまったのが悪かったのでしょうか。
正直期待外れという想いが強いです。
他人に理解されないという特徴も、主人公が超強いという特徴も、自ら潰してしまっているせいで数少ない特徴も見事消え去ってしまっている。
唯一残っているのはなんかよくわかんないけどハーレムになりそうだなっていう事実だけでした。