【感想】最果てのパラディンは熱い友情が魅力の異世界転生もの

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かんたん評価

オススメ度:★★★★★
人生で失敗した結果、引きこもりとなり死んでいないだけの人生を送っていた男は、死んだことにすら気付けないまま異世界へ転生してしまう。
そんな彼を抱き上げたのはまさかの干からびた女性のミイラだった。そう、赤子に生まれ変わった彼は遥か昔に滅びた死者の街にいたのだった。

魂と輪廻を司る灯火の神さまによって生きる機会を与えられた主人公は、神さまとの誓いを守るため、そして神さまの信仰を取り戻すために旅に出るというもの。
いわゆる異世界転生ものではありますが、ヒロインが登場せずに親友との友情を深めたり、友情、努力、勝利!な感じのめちゃくちゃ熱くて燃える展開があったりとオリジナリティは高めでオススメ!

以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

こんな作品

あらすじ

引きこもりとして無為な人生を過ごしていた主人公は、自分がどうやって亡くなったかにも気づかぬまま異世界へと転生してしまう。
ところが目覚めた場所は200年も昔に滅びた廃墟の街だった。
ウィリアムと名付けられた主人公は、生者の居ない街の中で今も意識のある3人のアンデッドによって育てられることに。
最初は恐れていたものの、新たな家族との充実した生活に生きることの喜びを見出していたウィリアムだったが、成人となる15歳の年、死者を不死者たらしめている不死神・スタグネイトが契約に従い3人の魂を迎えに来てしまう…。

登場人物

ウィリアム

後に”最果ての聖騎士”と呼ばれることになる本作の主人公。通称”ウィル”。
一度の失敗から人生を投げ捨ててしまい死んでいないだけの人生を歩んでいたが、灯火の神さまの力で前世の記憶を持ったまま新たな生を授かることになる。

マリー

廃墟の街に住むアンデッドの一人で、ウィルの母親役。
”地母神マーテルの愛娘”の二つ名を持つ凄腕の神官だった。
ウィルに神さまへの祈りを教える。

ブラッド

廃墟の街に住むアンデッドの一人で、ウィルの父親役。
“戦鬼ウォーオウガ”の二つ名を持つ凄腕の戦士だった。
『鍛え抜かれた筋肉による暴力は、だいたいの問題を解決する』という考えで、ウィルに戦い方の基本を教える。

ガス

廃墟の街に住むアンデッドの一人で、ウィルの祖父役。
”彷徨賢者ワンダリングセイジ”の二つ名を持つ凄腕の魔法使いだった。
ウィルに魔法の使い方と、それ以上にお金の大切さを教える。

メネルドール

ハーフエルフの狩人で、見た目はウィルと同じくらいの青年だが年齢不詳。通称“メネル”。
口は悪いが根っこは律儀で仲間想い。ツンデレ。
常識知らずなウィルに変わって交渉事を行うことが多い。

ここがイチオシ

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ストーリーが面白い

もう純粋にストーリーが面白い。これに勝るものは無いというくらい単純な魅力です。

今作には灯火の神さまとの誓いにより世の中に跋扈している邪悪(悪魔とか)を打ち払い嘆き悲しむ人々を救うという旅に出るという、とても明瞭な目的があります。
作品のテーマがはっきりしているというのは大事ですね。
それでいて“悪い奴を武力でやっつければ解決!”という程単純ではなく、根本に抱える問題をどうすれば解決できるか考えたり、時には旅で出会った様々な人に助けてもらったりしながら解決へと導いていきます。


熱い友情と感動がある

この作品の魅力はなんと言っても仲間との熱い友情です!

馴れ初めこそはウィルによるお節介によって助けられるところから始まりますが、逆にウィルが間違ったことをしようとしている時は怒ったり、弱気になっている時は勇気を与えたりと物語が進むにつれてお互いが欠かせない存在になっていくのがわかります。
なんというか、この手の主人公が強い作品にありがちな形だけの友人キャラじゃないところがとてもいいですね。

ここがちょっと気になる

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ヒロインらしいヒロインが登場しない

この作品にはなんと、いわゆるヒロインキャラが登場しません!
まぁ主人公はある意味灯火の神さまの伴侶みたいなものなので灯火の神さまがヒロインと言えなくもないけれど、神さま滅多に登場しないししゃべらないし…。

web版を読んでいる限りでは6冊目が出ればヒロインらしいキャラが登場するかも…?

個人的にはいないならいないで別に構わないのですが、ヒロインとのイチャイチャみたいなのを期待しているとがっかりしてしまうので要注意です。

終わりに

最近はありきたりな設定でありきたりな展開をする作品が多く、それなりに面白いものの感動を味わえるような作品には中々出会えないように思います。
僕らがファンタジー作品に魅入られてしまうのは、まだ見ぬ何かを求めているからではないでしょうか。

そんな中、『最果てのパラディン』はその物語の中に思わず心躍るワクワクと思わず涙を流してしまうような感動が多くありました。