ラノベ読みのオススメする作品を信じてはいけない
タイトルはちょっと大袈裟ですが、このラノ(このライトノベルがすごい!)の協力者や、わざわざTwitterにラノベ垢を作ってしまうような人がオススメしたり絶賛している作品を安易に信じてはいけません。
もう少し正確に言うならば、好みのタイプが近い人でもない限りは信じてはいけません。
これはラノベ垢を作っている上にブログでオススメ書いている僕自身に強烈なブーメランが刺さっていますが、僕の紹介する記事も「こいつの記事は信用ならねーな」と思ったら読むのはやめた方が良いと思っています。時間の無駄です。
なぜラノベ読みを信じてはいけないのか
このブログを始めてからラノベ読みの一人としてこの界隈を覗いていたところ、ここ2~3年でラノベ界隈含めて世の中で大きく変わってきていることがあることに気付きました。
作家と絡める信者ビジネスの大頭
ちょっと前までは下手をすればTwitter自体をやっていない作家までいましたが、最近ではTwitterを使って自ら営業活動に勤しむ作家が増えてきました。
その手の作家で一番有名なのは、先日アニメ化して大不評だった『弱キャラ友崎くん』の著者、屋久ユウキでしょう。
エゴサ作家としてラノベ界隈では有名な彼は、自分に関係のあるツイートを日夜エゴサしてはひたすらイイネ!を付けたり場合によっては絡んでくれることもあります。
こうした活動を否定するつもりはありませんが、問題はこれによって気を良くした読者が更なる反応をもらうためにより活発な行動をしていくということです。
時には一人で複数冊を購入した画像をツイートしたり、時には“友崎くんチャレンジ”なるアレなイベントを開催したりしてしまいます。
こうした地道な活動により一見すると大人気かのように見せることに成功し、売り上げを伸ばして見事アニメ化も果たしましたが、残念ながら実際のところは売れている冊数ほどファンは多くなく、評判も良くないということが露見してしまいました。
僕が知る限りこの手の作家の作品はかなりクセが強いというか、一部の人にしか刺さらない作品が多く、安易に他人にオススメできないものが多いです。
そもそも万人受けする作品なら宣伝に比例して今頃大人気になっているはずです。
厄介なことにオススメ作品を率先して宣伝するような活動的な人ほどこの手の作家のファンだったりします。
Twitterで教えてもらったラノベのオススメを信じて被害に遭った人は多いのではないでしょうか。
ちなみにこの手の作品で次に来るのは『千歳君はラムネ瓶のなか』と予想しています。
これも『弱キャラ友崎くん』と同じガガガ文庫の青春ものでかなり癖が強い作品であり、読み手を選ぶ作品ですので注意が必要です。
初動さえ売れればいい出版社と売れているものを宣伝するインフルエンサーの存在
例えばラノベ紹介系のyoutuberやブログでは、面白かった作品というよりは売れている作品、目立っている作品を紹介する傾向が非常に強くなっています。
なぜなら、単純に知名度が高いほど検索してくれる絶対数が多くなるからです。
彼らは別に趣味100%でやっているわけではなく、言ってしまえばお金稼ぎのためにやっています。
「これを紹介すれば売れる」であろう作品を探し出し、それをいかに面白そうに宣伝するかが彼らの仕事なので、実際に面白いと感じたかどうかは重要ではありません。
そしてこの流れに悪乗りしてしまっているのが出版社です。
上記のような状況ですから、ぶっちゃけ初動さえなんとかなればあとは勝手に売れてくれるんですよ。
インパクトのありそうなテーマの作品にそれらしい売り文句を付けて積極的に宣伝することで初動の売り上げを伸ばそうとします。
中身が伴っていればただの企業努力で流すところですが、問題は中身が伴っていないことです。
最近ですと『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』が当てはまるでしょうか。
電撃文庫という大手の宣伝力とイラストレーターによる知名度によってわずか5か月で発行部数10万部突破というラノベとしてはかなりの快挙を成し遂げました。
その後も怒涛の勢いで売り上げを伸ばしアニメ化まで果たしましたが、その結果本作があんな中身であることが露呈していましました。(一部では作画や脚本のせいにされていますが、間違いなく原作が悪いです)
こうした作品を宣伝してしまうような人のオススメを今後も参考にするかどうかはご自身でお考えください。
(本気で面白いと思ってる人もいるかもしれないのでその判断も自己責任で)
ちなみにこの手の作品で次にアニメ化の可能性がありそうな作品の一つに『友達の妹が俺にだけウザい』という作品があります。
タイトルや宣伝文句からはかけ離れた内容な上に、「この社会で情報は絶対の武器だ」と言いながらクラスメイトの名前も覚えていない主人公など、矛盾っぷりを随所に披露する怪文書の類です。
クソアニメハンターの方は楽しみが増えるかもしれません。
流行に流される人の増加
元々、人は流行に流されやすいものですが、それを踏まえた上でも、ここ最近は流行に流されている人が激増しているように思います。
より正確に言うならば、みんなが面白いと言っている作品 = 自分も面白いと思ってしまう人が多いのかなと。
例えば、前述の『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』のAmazonレビューを見てみると、アニメの方は圧倒的に★1のレビューが多いですが、書籍の方は意外()と評価の高い人が多いです。
この差はどこから来るかというと、身も蓋もないことを言ってしまえば“空気感”です。
平気な人は平気ですが、周りが面白いと言っている作品を自分だけ面白くないと言うのは意外と難しいもので、「自分も面白いと感じた」と思い込んでしまうことがあるようです。(ソースはありません)
評価の高い高級料理店で、よくわからないけど美味しいと思ってしまうものに近いものがあるかもしれません。
書籍の方はこうした空気感が最初に出来上がったために、面白いと勘違いしてしまった人が多発してしまったのではないかなと。
そもそも文章読めていない疑惑
最近のラノベ界隈ではラブコメが流行ってきています。
ラブコメが流行っていること自体は別に問題ではないのですが、流行っている理由が大問題です。
流行りのラブコメについて読んだり感想を探したりしてみたところ、大きな部分を“キャラ萌え”や“シチュエーション萌え”が占めていました。
キャラ萌えをどれだけ重視するかは好みですし、ラブコメにおいて非常に重要な要素の一つなのは間違いありません。
しかし、物語や設定が滅茶苦茶でもキャラさえ可愛ければこれは神作品でございというのは流石にどうかと思います。
前述の『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』もその一つですし、『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』なんかもキャラ萌えに全振りして他がお粗末な典型ですが、結構な人数が絶賛しています。
少し話が逸れますが、何年か前に“アミラーゼ問題”というのが話題になりました。
今の中学生・高校生は文章を「意味を理解して読めない」というテスト結果が出たというもので(何なら大学生も読めないらしい)、たった2~3行の文章すら主語や述語の関係がわからなくなってしまうというものでした。
現在流行っているラノベを見ると、さもありなんという感じです。
本当に文章が読めて入れば、事前にオチをお漏らししているようなとんでも構成の作品に対して「思いがけない展開だった」とは思いません。
文章が読めないタイプの人と小説の面白さについて分かり合うことは不可能なので、オススメをしている人がどういうタイプかを見極める必要があります。
逆にこういう作品を求めているというのであれば僕からはもう何も言うことはありません。
個人的にはこの手の内容は漫画読んだ方が楽しめるんじゃないかなと思ってしまいますが。
終わりに
ぶっちゃけよく知らない人がオススメしている作品を買うくらいなら、本屋に行って積んである作品から何となく気に入った作品を選んでもいいと思います。
本屋に行くのが億劫ならamazonのランキングでも見てみればいいでしょう。
ただし、一見評価が高そうでも、低評価のレビューがトップに来てしまうような作品はかなり警戒が必要です。
信頼できるようなレビュアーを発見できればいいですが、自分の好みと合う人を探すというのはなかなか大変です。
【感想】公女殿下の家庭教師 は主人公キモい選手権でも目指しているのだろうか
かんたん評価
オススメ度:★★☆☆☆
恩師の頼みによって魔法を使えない公女殿下ティナの家庭教師をすることになる青年アレンがあっちこっちで大活躍するお話。
お話自体はどこかで見たようなありきたりな内容でこれといった特徴は無いものの王道ではあるので特別悪いものではないが、節々に挟み込まれる主人公(というか作者?)のロリコン趣味・趣向があまりにも気持ち悪くてキツい。
以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。
こんな作品
あらすじ
規格外の魔法技術を持ちながらも王宮魔法士の試験に落第した青年アレンだったが、恩師から公爵家の令嬢であるティナの家庭教師の仕事を紹介される。
なぜか初級魔法すら使えないティナに公爵は王立学校への入学を諦めさせたいと望むが、ティナの入学への強い想いからアレンは魔法を使えるように導くことを決意する。
一向に魔法が上達しないティナだったが、どうも魔法を妨害してしまう秘密がティナの身体にあるようで…。
ここがイチオシ
イラストのクオリティが高い
この作品の唯一と言っていい魅力はイラストでしょう。
絵柄の好き嫌いはあるかもしれませんが、現在刊行しているラノベの中でも非常にクオリティの高いイラストだと思います。
表紙はもちろんのこと、挿絵も十分に満足のいくものになっています。
挿絵のクオリティが高いことが魅力になるのもどうかと思いますが、ラノベは挿絵を別人が描いたんじゃないかというレベルで挿絵のクオリティが低いことが割と頻繁にあるので、これだけでも付加価値になってしまいます。
ここがちょっと気になる
主人公が気持ち悪い
個人的には割と変態な主人公には寛容な方だと思っていたのですが、この作品についてはどうしてもダメでした。
というか、変態というよりも単純に行動が気持ち悪いからというのが大きいでしょうか。
例えば、主人公は初対面だろうが何だろうが所かまわず女の子の頭を撫でようとします。
妹や後輩に対する癖でついつい頭を撫でてしまった。
う~ん、こういう時は…ぽん、と小さな頭に手を置き、微笑みかける。
また、どういう思考回路をしているのかナチュラルに女の子を盗撮しています。
面白い顔。ばれないように映像宝珠へ記録。
なぜでしょう、個人的にはスカートの中を覗こうとしている男子高校生よりもよっぽど気持ち悪く感じてしまいます。
こうしたシーンが稀にある分にはスルーしてしまえばいいのですが、作中の3割くらいは誰かしら女の子とこんなことをやっています。
これをスルーしていると読むものが無くなってしまうのです。
一番恐ろしいのは、主人公自身はこれらの行動をおかしいと思っていない上に、周りからも主人公は紳士で謙虚でカッコいいと思われているところでしょうか。
YES!ロリータNO!タッチを守らずモロにお触りしていることから紳士とは程遠いですし、他の人ができない高度な魔法をこれ見よがしに見せつけながら「僕なんてまだまだですよ」とか言うののどこが謙虚なのか意味不明。
外見についてはよくわかんないけれど、それだけで擁護するにはあまりにも言動が気持ち悪いですね。
ヒロインも気持ち悪い
この作品は典型的なハーレム作品で、名前が用意されている女の子キャラはまぁほぼ全員が主人公のハーレム要員だと思って間違いないです。
で、個人的にはハーレム作品自体は好きではないもののそれほど忌避感無い方だと思っているのですが、この作品はちょっとキツい…。
というのも、ごく一部のヒロインを除いてなぜ主人公にそこまでベタ惚れなのかがさっぱりわからない。
初めて出会ったはずなのに既に好感度が天元突破しており、しかもそんな出会ったばかりの男に「ナデナデシテー」という状態。
こいつらファービーかよ。
更に驚くべきことにこのヒロインたちの主な年齢層は12,3歳である。
3歳児くらいが甘えてくるならわかりますが、思春期真っただ中の女の子たちが開けっ広げに甘えてくる様子は異常であり、その甘えっぷりが皆同じような感じなのでセリフだけでは誰が甘えているのかわからないという個性喪失状態で非常に不気味。
こんなにも人間らしさを放棄されてはヒロインというより、工場で量産された玩具(まさにファービー)ではないでしょうか。
後から主人公より年上のヒロインも出てきますが、年上は年上でなんかやたら主人公を甘やかそうとしてくるのでこれまた気持ち悪いという…。
終わりに
なんというか、童貞が好きそうなヒロインを量産してみましたっていう感じでしょうか。
好きな人は好きな作品のようですが、僕としてはあまりにも登場人物たちの人間性が放棄されていて、面白い面白くないとかではなく不気味な作品でした。
【感想】最果てのパラディンは熱い友情が魅力の異世界転生もの
かんたん評価
オススメ度:★★★★★
人生で失敗した結果、引きこもりとなり死んでいないだけの人生を送っていた男は、死んだことにすら気付けないまま異世界へ転生してしまう。
そんな彼を抱き上げたのはまさかの干からびた女性のミイラだった。そう、赤子に生まれ変わった彼は遥か昔に滅びた死者の街にいたのだった。
魂と輪廻を司る灯火の神さまによって生きる機会を与えられた主人公は、神さまとの誓いを守るため、そして神さまの信仰を取り戻すために旅に出るというもの。
いわゆる異世界転生ものではありますが、ヒロインが登場せずに親友との友情を深めたり、友情、努力、勝利!な感じのめちゃくちゃ熱くて燃える展開があったりとオリジナリティは高めでオススメ!
以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。
こんな作品
あらすじ
引きこもりとして無為な人生を過ごしていた主人公は、自分がどうやって亡くなったかにも気づかぬまま異世界へと転生してしまう。
ところが目覚めた場所は200年も昔に滅びた廃墟の街だった。
ウィリアムと名付けられた主人公は、生者の居ない街の中で今も意識のある3人のアンデッドによって育てられることに。
最初は恐れていたものの、新たな家族との充実した生活に生きることの喜びを見出していたウィリアムだったが、成人となる15歳の年、死者を不死者たらしめている不死神・スタグネイトが契約に従い3人の魂を迎えに来てしまう…。
登場人物
ウィリアム
後に”最果ての聖騎士”と呼ばれることになる本作の主人公。通称”ウィル”。
一度の失敗から人生を投げ捨ててしまい死んでいないだけの人生を歩んでいたが、灯火の神さまの力で前世の記憶を持ったまま新たな生を授かることになる。
マリー
廃墟の街に住むアンデッドの一人で、ウィルの母親役。
”地母神マーテルの愛娘”の二つ名を持つ凄腕の神官だった。
ウィルに神さまへの祈りを教える。
ブラッド
廃墟の街に住むアンデッドの一人で、ウィルの父親役。
“戦鬼ウォーオウガ”の二つ名を持つ凄腕の戦士だった。
『鍛え抜かれた筋肉による暴力は、だいたいの問題を解決する』という考えで、ウィルに戦い方の基本を教える。
ガス
廃墟の街に住むアンデッドの一人で、ウィルの祖父役。
”彷徨賢者ワンダリングセイジ”の二つ名を持つ凄腕の魔法使いだった。
ウィルに魔法の使い方と、それ以上にお金の大切さを教える。
メネルドール
ハーフエルフの狩人で、見た目はウィルと同じくらいの青年だが年齢不詳。通称“メネル”。
口は悪いが根っこは律儀で仲間想い。ツンデレ。
常識知らずなウィルに変わって交渉事を行うことが多い。
ここがイチオシ
ストーリーが面白い
もう純粋にストーリーが面白い。これに勝るものは無いというくらい単純な魅力です。
今作には灯火の神さまとの誓いにより世の中に跋扈している邪悪(悪魔とか)を打ち払い嘆き悲しむ人々を救うという旅に出るという、とても明瞭な目的があります。
作品のテーマがはっきりしているというのは大事ですね。
それでいて“悪い奴を武力でやっつければ解決!”という程単純ではなく、根本に抱える問題をどうすれば解決できるか考えたり、時には旅で出会った様々な人に助けてもらったりしながら解決へと導いていきます。
熱い友情と感動がある
この作品の魅力はなんと言っても仲間との熱い友情です!
馴れ初めこそはウィルによるお節介によって助けられるところから始まりますが、逆にウィルが間違ったことをしようとしている時は怒ったり、弱気になっている時は勇気を与えたりと物語が進むにつれてお互いが欠かせない存在になっていくのがわかります。
なんというか、この手の主人公が強い作品にありがちな形だけの友人キャラじゃないところがとてもいいですね。
ここがちょっと気になる
ヒロインらしいヒロインが登場しない
この作品にはなんと、いわゆるヒロインキャラが登場しません!
まぁ主人公はある意味灯火の神さまの伴侶みたいなものなので灯火の神さまがヒロインと言えなくもないけれど、神さま滅多に登場しないししゃべらないし…。
web版を読んでいる限りでは6冊目が出ればヒロインらしいキャラが登場するかも…?
個人的にはいないならいないで別に構わないのですが、ヒロインとのイチャイチャみたいなのを期待しているとがっかりしてしまうので要注意です。
終わりに
最近はありきたりな設定でありきたりな展開をする作品が多く、それなりに面白いものの感動を味わえるような作品には中々出会えないように思います。
僕らがファンタジー作品に魅入られてしまうのは、まだ見ぬ何かを求めているからではないでしょうか。
そんな中、『最果てのパラディン』はその物語の中に思わず心躍るワクワクと思わず涙を流してしまうような感動が多くありました。
【感想】86-エイティシックス- は1巻が至高にして作品のピーク
かんたん評価
オススメ度:★★★☆☆
帝国が開発した“レギオン”と呼ばれる無人兵器が侵略してくる世界で、人権の無い“第86区”の少年少女たちが“ジャガーノート”と呼ばれる表向き無人兵器という設定の“有人兵器”に乗って戦う物語。
戦争がテーマの作品であり、味方がバンバン亡くなっていくのもあって非常に重い話ではありますが、だからこそ濃密で心揺さぶる展開が楽しめる作品となっています。
…1巻だけは。話としてのピークは1巻で迎えてしまっており、2巻以降は蛇足感が半端ないので注意が必要です。
以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。
こんな作品
あらすじ
大国ギアーデ帝国が作り上げた完全自立無人戦闘機械“レギオン”によって瞬く間に大陸全土を戦地とした大戦争が勃発する。
そんな中、レギオンに対抗できる同型兵器を開発したというサンマグノリア共和国は、かろうじて帝国からの侵略を退けていた。しかし、実はその兵器の中には存在を抹消された“第86区”の少年少女たちが乗り込んで戦う有人兵器であった…。
「戸籍上存在しない人が乗ってる兵器だから実質無人兵器だよね」という北〇鮮もビックリな人権意識から成るブラックなストーリーです。
有人式な上に兵器の質も敵方より低い、そんな明らかに不利な状況で86区の少年少女たちはどのような運命を辿るのか。そして、そんな彼らの監督を任されたヒロイン・レーナはこんな残酷な状況でどのような決断を下すのか。
そんなところを楽しむ作品です。
ここが魅力
ハラハラドキオキする展開
主人公サイドが操る兵器は帝国の操るレギオンに比べて一回りも二回りも弱い機体。
そのうえ敵方は無人兵器なので損壊に対する恐怖もなく襲ってくるが、こちらは数少ない人員を更に削られながら対抗していく。
そんな圧倒的不利な状況での戦いになるので、この先の戦闘はどうなるのか? 果たして最終的に彼らは勝てるのか? といった気持ちが最後まで離れません。
しかも、さっきまで仲良く話していた固有名詞付きの仲間が割とバンバン戦死していくため、最終的に誰が生き残るのか、いや、全滅すらあり得るのではないかと最後まで緊張感をもって楽しむことができます。
ここがちょっと気になる
2巻以降の蛇足感が半端ない
1巻を読み終えると「ははーん、こういう結末になるのね」となかなかに納得感のある結末を迎えることになるのですが、実は1巻のラストは物語の構成上、読者(及びヒロイン)には知ることのできない空白の期間があります。
2巻及び3巻はその空白の期間を書いた作品になるわけですが、ぶっちゃけ1巻読んでたら結末がわかってるわけですよ。
こういう緊張感の盛り上げが作品の大きな魅力になっている作品で結末がわかっていると、「なんかピンチになってるけど、どうせこいつ生きてるんだよなぁ」とか、逆に「こいつ死んじゃうんだよなぁ」みたいな気持ちになっちゃうわけです。
まぁ電撃小説大賞への投稿作品なため、1巻でキリの良い終わりにしなければならないという制約があるため仕方ないところではありますが、明らかに構成をミスってしまった感があります。
しかも、それが2巻も続くわけで、1巻の続きを読めるのは4巻まで待たなければいけないという。
そしてここまで読むと気づいてしまうことがあるのですが、絶望感を出し過ぎてしまったがために「あ、これ人類が勝つの無理じゃん」っていう程に敵方を強くし過ぎてしまいました。
ぶっちゃけこの状況から最終的に主人公サイドが勝つにはとんでもご都合展開が訪れるしか無いわけで、かといってバッドエンドなんてものはいくらなんでも悲しすぎるわけで、どっちに転んでもなんだかなぁな気持ちになること間違いなし。
そのため、この作品は1巻で止めておくのが無難と言わざるを得ません。
戦争シーンのイラストが一切ない
本作を担当しているイラストレーターは『りゅうおうのおしごと』で有名なしらびさん。
彼が描くキャラクターは大変魅力的なのですが、残念ながらこの手の戦争モノのラノベのイラストとなるとガッカリと言わざるを得ません。
というのも、本作は戦争モノにも関わらず戦争シーンの挿絵が一切無いのです!
多くのラノベでは盛り上がるシーンにこそ挿絵を入れてくれるものですが、この作品では割とよくわからないシーンに挿絵が入ることになります。(いや、そもそも挿絵が少なかったような)
メカデザインはⅠ-Ⅳさんという別の方が担当されており、設定資料集のような説明絵が入っているだけになります。
実際に読んでみるとわかってくれる人もいるかと思いますが、「そういうんじゃないんだよ」という気持ちになります。
兵器を描くのは美少女とは全く別の技術が必要なのでしょう。であれば、美少女も兵器も描けるイラストレーターにお願いすればよかったわけで、流石に戦争シーンが1枚も無いのは残念です。
終わりに
デビュー作ということでお世辞にも読みやすい文章とは言い難く、おまけに戦争モノと内容も非常に重いものとなっているため非常に人を選ぶ作品だと思います。
とは言え1巻の完成度としてはとてもよくできているので、1巻に関してはオススメできます。
【感想】数字で救う! 弱小国家 が面白いし勉強にもなって最高!
かんたん評価
オススメ度:★★★★☆
とある事故で異世界へ転移してしまうことになった数学者の卵・ナオキ。
そこで出会った少女はまさかの弱小国家の王女様だった。
魔法もモンスターもない中世ヨーロッパのような異世界。剣も銃も扱えないナオキは、唯一得意な数学の力で戦乱の世を生き抜いていく!
・魔法も異能もモンスターも居ない戦記もの
・数学を活用して不利な状況でも勝ち進む
・でも数学では解決できない問題もある
・数学が苦手でも十分楽しめる
・ハーレム要素あり
なろうっぽい安易な展開を想像していたら予想以上に山あり谷ありのストーリーで非常に楽しめました。
登場する数式自体はそこまで難しいものではなく、理解できなければ飛ばしても問題ないのはライトノベルらしくて良いと思います。
以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。
こんな作品
あらすじ
小国ファヴェールの王女・ソアラは悩んでいた。隣国との緊張が高まり、戦争の気配がちらつき始めた今、国力が低い自国を守るにはどうすればよいか。父王は病に倒れ、頼みの綱の家臣たちも、前時代的な「戦いの栄誉」ばかりを重視し、国を守る具体案を誰も持たないまま。このままファヴェールは滅ぶのか…。しかし、そんな時、彼女の前にある人物が現れた。“ナオキ”―後の歴史に“魔術師”の異名を残したその青年が扱う『数字』の理論と思考は、ソアラが求めた「国を救うための力」だった…!異能ナシ、戦闘力ナシ、頼れるのは2人の頭脳だけ…!理系青年と、敏腕王女が『戦争』という強敵に挑む『異世界数学戦記』、ここに登場!
異世界転移ものではあるものの、魔法も無ければモンスターも居ない中世っぽい世界観ということで、雰囲気はどちらかというとタイムスリップものに近いのではないでしょうか。
国とか地名とかはオリジナルなのでそこはやはり異世界ですが。
ここが面白い
数学が何の役に立つかよくわかる
「数学を勉強して何の役に立つの?」
なんて言葉は昔からよくネタにされています。
実際のところ日常生活では小学生レベルの算数さえできれば十分なことがほとんどで、数学ができなくても死ぬことはないでしょう。
生活に必須ではないものに興味を持つのは難しいですよね。
例えば、地平線までの距離は地球の半径と自分の身長からおおよその値が導き出せるんだよと言われても「ふーん(どうでもいい)」という人がほとんどではないでしょうか。
では、ソシャゲのガチャで目当てのキャラを引き当てるのには何回ガチャを回せばいいかと言われればどうでしょう。
少なくとも地平線までの距離よりは興味を持つ人は増えるのではないでしょうか。
本作はこのように、ライトノベルを読む層が興味を持ちそうな内容や、戦記ものという観点から直面する問題に対して自然に数学の活用例を取り入れています。
しかも、ありがたいことに解説付きで載っているため、非常に理解しやすいです!
数学を活用すれば見目麗しいお姫様と仲良くなれるんだから学ばない手はないだろう?
ちなみに、ソシャゲで5%のお目当てのキャラを引き当てるために20連した場合、当たる確率の答えは作中にて説明されていますのでぜひ読んでみてください。
先の読めないストーリー
この作品の魅力はなんといっても先の読めないハラハラするストーリーです。
作品のコンセプトを見ると「計算で何でも解決しちゃうんじゃないの?」と思うかもしれません。確かに大抵の問題は計算で何とかしようとしており、実際に経済なんかは数学の力で大きな変革をするわけですが、まぁこれは現実世界でも同じですよね。
ところが戦争となると勝手が違ってきます。
もちろん戦争という場面でもナオキは数字の力を大いに役立てるわけですが、軍隊の動きは見えても個人の心までは完全に計算することはできません。
時には裏切り者が出てくることもありますし、逆に敵ではなかったなんてことも。
この辺りは主人公、ヒロイン共にコミュ障気味という設定がよく活かされている面と言えるのではないでしょうか。
数字で圧倒的有利になることもあれば、数字の力だけではどうにもならないこともある。
そのバランス感が絶妙で、だからこそ本当の数学の有効性を認識できます。
ここがちょっと気になる
ヒロイン一人じゃないんかい!
本当は好きな作品のネタバレは極力避けたいところですが、これは人によってはNGになってしまう要素のためにあえて公表します。
まさかの結ばれるヒロインが一人じゃありませんでした!
いやこの作品どう見てもヒロインはソアラの一強じゃん!
それ以外想像できないじゃん!
ハーレムと言うほどではありませんが、この内容で結ばれる相手が一人じゃないとは流石に思いもよりませんでした。
まぁ僕個人はそれでマイナス評価にすることはありませんが、一夫一妻制に拘る人もいるかと思います。
ハーレム系は作品の内容からある程度予想できることが多いですが、この作品に関しては完全に予想外でしたので念のため気にする方はご注意を。
終わりに
魔物も魔法も登場しない戦記モノというのは中々爽快感が得られなくてライトノベルとしては人気を得るのが難しいジャンルだと思います。
そんな中でも『数字で救う! 弱小国家』はライトノベルらしい軽さとコンセプトに対する堅実さを感じられ、根強い人気があるように感じます(個人の感想です)。
異世界転移モノや戦記モノに抵抗のない人にはぜひ手に取ってみてもらいたいです。
小説家になろう原作のコミックで面白かったオススメ作品16選
プロ・アマ問わず自由に小説を投稿でき、無料で閲覧できるサイト「小説家になろう」通称“なろう”。
人気作には出版社から声がかかり書籍化されることもあるというのは有名な話でしたが、その中の一つ『転生したらスライムだった件』のコミカライズ作品が爆売れしたことを契機に、今ではなろうのコミカライズが爆発的に増えてきています。
一般的なライトノベルと比べて物語の区切りが短いスパンで訪れることの多いweb小説はコミカライズとの相性が良く、また、例え原作の文章に未熟な部分があっても補完することができるので原作よりもコミカライズの方が面白い!ということがしばしばあります。
一方でやたらめったらコミカライズ作品を増やしたことであまりにも低品質な作品までもが目に付くようになりました。
そこで今回は、僕なりに本当に読んで面白かったと思えたなろうコミカライズ作品を紹介していきます。
アニメ化済の作品はもう知ってるよ!って人もいるかと思うので、アニメ化作品は後半に別枠として載せておきます。
異世界ファンタジー
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~
【特徴:異世界転生、中世ファンタジー、主人公は魔法使い】
穀潰しのニートが家を追い出された先でトラックに轢かれてしまい、異世界へと転生してしまうお話。
なろうの代表作の一つ。
生前あらゆることから逃げてきたことを後悔したろくでなしが、異世界とは言えもう一度チャンスを貰えたことで今度こそ頑張ろうという内容で、ざっくり言えば一人の人間の成長譚です。
この手の作品にしては珍しく主人公には剣の才能が無いため、純粋な魔法使いとして成長していきます。魔法の才能はあるもののチートは無いので無双を期待している人には物足りなさがあるかもしれませんが、その代わりに様々なキャラが活躍する非常に奥深いストーリーと感動が魅力です。
漫画としての出来も非常に良くて、画力が高いのはもちろん、必要な部分は残しつつ省略可能なところはバッサリと切ってストーリー重視でありながらテンポの良さも実現しています。
また、成長譚ということで時間経過に合わせてキャラもどんどん成長していくわけですが、成長によるキャラの描き分けが行われていることには感動すら覚えます。
なろうにありがちな無節操に嫁を増やすようなことはありませんが、若干ハーレム要素(ヒロインが一人じゃない)があるので気にする人はちょっと注意が必要かも。
治癒魔法の間違った使い方
【特徴:異世界転移、中世ファンタジー、巻き込まれ召喚、コメディ】
たまたま一緒にいたために勇者召喚に巻き込まれた少年は、治癒魔法の適性を持っていたがために鬼教官の元で過酷な修行の日々を送ることになってしまうお話。
治癒魔法をかけ続けることで常人には耐えられない訓練をこなすというとんでも修行によってだんだんと“脳筋”化していく主人公の様は新しすぎます。
コメディ寄りではありますが、(物理で)戦うヒーラーという異質な主人公が、ちょっと(?) 変わった方法で戦う様にクスっと笑いがこぼれてくる感じ。ストーリー自体は侵略してくる魔王に対抗するという非常にオーソドックスなものとなっており、純粋なファンタジー作品としても楽しむことができます。
いわゆる不快なキャラがおらず、強メンタルな主人公のおかげで変にシリアスになることもないため、気楽に楽しみたい人いはオススメ!
骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中
【特徴:異世界転移、ゲームキャラ、中世ファンタジー、主人公最強】
オンラインゲームをプレイ中に寝落ちしたところ、ゲームキャラのまま異世界に迷い込んでしまうお話。
最強クラスのスキルやアイテムを持っていて骸骨アバターというのは『オーバーロード』を彷彿させますが、こちらの主人公は根が善人で勧善懲悪系のお話なのでかなり毛色が異なります。
見た目がスケルトンなために目立たずに生きていこうと言いつつ、困っている人を見捨てられないためにどんどん首を突っ込んでいくわけですが、持ち前の能力でバンバン解決していく俺TUEEE系。
絵のクオリティが非常に高いので俺TUEEEな場面も栄えるので読んでいていとても楽しいです。
旅を共にすることになるダークエルフのヒロインもめちゃくちゃ可愛い!
一つだけ謎なのが、ダークエルフの肌が白い上に性格も善人なのでどの辺がダークなのかわからないところ。
成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです
【特徴:異世界転移、中世ファンタジー、チート、奴隷】
事故で亡くなった両親の代わりに妹を養うために就職活動をするも100連敗中の無職が、次の面接に出かけたところで暴走した馬に轢かれて異世界転移してしまうお話。
事故による異世界転移からの神様からのチートに奴隷入手という大まかな流れには全く目新しさはありませんが、キャラはしっかり立っていてそれぞれに活躍の場がありますし、ストーリーも面白い良作です。一部ウザいキャラがいるのだけが難点ですが。
やや丸みを帯びた描き方なのでキャラデザには好みが別れてしまうかと思いますが、ポージングだったり背景のパースだったりと基本はしっかりできていますし、戦闘時の構図もうまく描かれています。
女の子が可愛いだけの作品が数多くある中、モンスターのクオリティもしっかりしており、コミカライズ作品としてはむしろ高クオリティな部類なのでAmazonレビューなどに惑わされずに手に取ってみてもらいたい作品です。
転生したら剣でした
【特徴:異世界転生、中世ファンタジー、主人公が剣】
車に轢かれて異世界転生したらまさかのインテリジェンス・ウェポンという無機物でしたというお話。
未知なる世界に剣として生まれ変わった主人公は紆余曲折あり黒猫族の少女に拾われ、少女の夢を叶えるために一緒に旅に出ることになります。
なろうにしては珍しく俺TUEEE要素が薄く、時には普通にクエストをこなし、時には強力な敵と戦い成長していく物語です。
転生要素が薄いのはちょっと残念ですが、普通の王道ファンタジーとして読めばめちゃくちゃ良くできています。
絵もとても上手く、数々の剣技や派手な魔法は必見です。
努力しすぎた世界最強の武闘家は、魔法世界を余裕で生き抜く。
【特徴:異世界転生、中世ファンタジー、主人公最強、コメディ】
魔法のある世界に異世界転生した主人公は死に物狂いで修行した結果、魔王すらもワンパンで倒せるほど強くなったが、なぜか魔法は使えない少年がやっぱり魔法を使えるようになるために更なる努力をするというコメディ作品。
タイトルからは超絶クソ漫画の匂いがプンプン漂ってきますが、読んでみたら予想を裏切る面白さでした。
魔法を使うためなら本当にどんな努力も惜しまないため、時には幼児退行させられたり、時には女児服を着せられたりと、どんな荒唐無稽な内容でも実施してしまうかなりおバカな作品です。しかもそんな中次々と復活してくる魔王を片手間に倒すという既に完成された最強主人公。
しかし、主人公がとにかく明るく前向きなため無自覚最強系であるにも関わらず全く嫌味がありません。
ある意味勢いしか無い作品ですが、勢いさえあれば楽しめるということを教えてくれる作品でした。
笑える作品が読みたければオススメ!
蜘蛛ですが何か
【特徴:異世界転生、中世ファンタジー、主人公が蜘蛛】
ある日教室が不思議な光に包まれたと思ったら異世界に蜘蛛型モンスターとして転生してしまったというお話。
舞台のメインはダンジョンで、色々なアクシデントに見舞われながらもレベル上げと進化をしていく、いわゆるMMORPGっぽいやつです。
チートとかはないのでかなり地道な成長になりますが、様々なスキルを活用したり、時には逃げたりとワンパターンにならないところが面白い!
主人公が女の子であるためかややコミカルなタッチで描かれており、蜘蛛であるにも関わらず気持ち悪さがなく読みやすいです。
ファンタジー
薬屋のひとりごと
【特徴:中華ファンタジー、女主人公、探偵モノ】
薬にしか興味のない少女がある日女官狩りに遭い、後宮の下女として奉公することになってしまうお話。
後宮で起きている様々な事件に首を突っ込んでは薬や毒の知識を元に解決していき、お偉いさんたちに気に入られていくという内容で少女漫画風の探偵モノという感じです。
コミック絵のクオリティがめちゃくちゃ高い上に細かいところまでしっかり描写されていているのが素晴らしい。作品の設定的にはおかしいんだけど猫猫がめっちゃ可愛いのも素晴らしい。
あまり宮廷について知識がないので小説ではいまいち情景が想像できなかった場面も、マンガならわかりやすいのは良いですね。
望まぬ不死の冒険者
【特徴:中世ファンタジー、主人公アンデッド】
なかなか実力が上がらず万年銅級冒険者をしていた男が運悪く迷宮で遭遇したドラゴンに殺されてしまったところ、気付くとなぜか“スケルトン”として復活していたお話。
どう見ても魔物の姿なので本来ならとても人の世界では生きられないわけですが、魔物ならではに起こる“存在進化”という現象によってスケルトンからグール、屍鬼といった具合に人の体に近い魔物に進化し、人間の冒険者として生きることを目指していきます。
割とすぐに街に入れてしまうようになるのはおや?と思いましたが、コツコツと信頼と実績を積み上げていく主人公がどこへ向かうのか、今後が非常に楽しみな作品です。
嘆きの亡霊は引退したい
【特徴:中世ファンタジー、勘違いコメディ、主人公最弱】
世間からも仲間からも有数の実力者と思われている主人公が、実はその運の良さ(運の悪さ?)からただただ大きな事件に巻き込まれてきただけの凡人以下という勘違い系コメディ。
主人公の発言が全く意図しない方向に勘違いされてどんどん大事になるといういわゆるアンジャッシュコントのような感じです。
主人公の何気ない言動が後々フラグになっていたりするので先を予想しながら読むと2倍楽しい! まぁ大体予想の斜め上を行くのでまず当たらないのですが。
この作品のコミカライズ版のすばらしいところは可愛い子からおっさんまでキャラが上手く描かれているところでしょう。女の子だけ可愛いって作品はいくらでもありますが、おっさんもうまく描けているのは貴重です。
スローライフもの
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました
【特徴:中世ファンタジー、追放モノ、恋愛、スローライフ、田舎】
魔王を倒すべく勇者のパーティーの一員として戦ってきたが、次第に戦いについていけなくなりパーティーから追い出された男のお話。
よくある追放モノで追い出された経緯とか実は主人公のおかげでパーティーが維持されていたとかその辺りかなりテンプレで雑なのは気にしてはいけない。
この作品の見どころはその後のスローライフで、辺境の町での生活とかヒロインとの初々しい生活とかをニヤニヤしながら楽しむ作品です。
料理マンガじゃないくせに妙に食事シーンに力が入っており、料理のクオリティもさることながら食べている時のリットがとにかく可愛い。
スローライフモノはどうしても淡々とした描写になるものが多い中、この作品は良い感じに事件・山場もあるので読んでいて飽きません。
冒頭の追放シーンを気にしなければとてもオススメな作品!
復讐とかざまぁとかは無いのでそれを期待してはいけない。
異世界のんびり農家
【特徴:異世界転生、中世ファンタジー、スローライフ、ハーレム、チート、コメディ】
ブラック企業に勤めていた結果病気で亡くなってしまった主人公が異世界に転生し、神様から『健康な肉体』と『万能農具』を貰って辺境の森を開拓していくお話。
良くも悪くもなろうらしい作品でかなりのご都合展開のオンパレード。
お世辞にも絵も決してうまいとは言えないのですが、いざ読み始めるとどうしたことか止まりません。
最初のうちは家を作ったり農地を開拓したりと『マインクラフト』のような感じですが、やがてペット化したモンスターたちが増えたり様々な種族が増えたりしてくるとだんだんと『シムシティ』っぽくなっていきます。
この作品は言うなればゲームのプレイ動画を見ているような、そんな内容ですね。
農地開拓にも戦闘にも使える万能農具が万能過ぎてもう笑うしかない。
万人が楽しめるとは思いませんが、ハマる人はめちゃくちゃハマると思います。
宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する
【特徴:異世界転移、中世ファンタジー、おっさん主人公、恋愛、内政】
偶然にも異世界へ行ける扉を見つけた男は、宝くじで当てた40億を使って異世界に物資や技術を持ち込んで開拓していくお話。
異世界と現実世界を(主人公だけが)自由に行き来できるというのは何気に珍しく、それによって現代の技術や道具はお金で解決できるため、「主人公があり得ないほど物知り」という違和感無く、わりと納得感を持って作品を楽しむことができます。
異世界開拓というメインの裏側で繰り広げられる恋愛模様もなかなか見どころです。
主人公とヒロインのお互い気になっているのになかなか進展しない、でもたまにドキドキさせられるもどかしさがなんとも心地よいです。
また、遥か昔にも主人公と同じようにこの世界に渡った人がいたようだが、果たしてどのような秘密が隠されているのか…?
伏線も隠されていて先が非常に気になります。
アニメ化済み作品
転生したらスライムだった件
【特徴:異世界転生、ファンタジー、チート、主人公がモンスター】
通り魔に襲われ亡くなってしまったサラリーマンの三上悟は、魂だけでファンタジーな異世界へと渡ってしまいスライムとして転生してしまうお話。
言わずと知れたなろうの代表作の一つ。
単純にチート能力を貰って最強です!ではなく、スライムらしい特性を活かして食べて能力を得ていくというわかりやすく成長していくのが魅力です。まぁチートもあるけど。
漫画家さんの安定して高い画力も素晴らしいのですが、何より原作の欠点である文章力と冗長さを上手く消化してテンポの良い作品に仕上がっているのが良いですね。程よく物語に起伏があるため飽きが来ません。
中身は男ですがスライムに転生したことで性別が無くなったため、恋愛要素とかハーレム要素が無いのも特徴で、恋愛要素とか不要と思っている人でも楽しむことができます。
ナイツ&マジック
【特徴:異世界転生、中世ファンタジー、ロボット、知識チート】
ロボットものが大好きなプログラマーがトラックに轢かれて異世界転生した先は、魔法と二足歩行型のロボット『シルエットナイト』が存在する世界というお話。
本来ならロボットなんて存在するわけのない中世ヨーロッパ風の世界ですが、とある存在によるオーバーテクノロジーなコアと魔法による動力で実現しているというのは中々面白いですね。
現代知識とプログラミング知識を駆使することで、長年停滞していたシルエットナイトの開発に主人公が革命を起こしていきます。
白熱したバトルと無双が程よくミックスされており、読んでいて非常に面白いです!
ロボットもの好きはもちろん、普通のファンタジーが好きな人でも十分楽しめると思います。
カッコいいキャラ、可愛いキャラが登場するうえにメカの描写もしっかりしているコミックというのは大変貴重!
インフィニット・デンドログラム
【特徴:VRMMO、熱血主人公、大学生】
現実と見間違える程高クオリティのVRMMO型ゲーム<Infinite Dendrogram>を始めた主人公が、様々な思惑に巻き込まれながらも己の守りたいもののために戦うお話。
あまりにも感情豊かで自然な動きをするNPCや明らかにオーバーテクノロジーなゲーム性能など、<Infinite Dendrogram>がただのゲームではなさそうな雰囲気を醸し出してきますが果たして…
最近の作品にしてはかなり珍しい熱血系主人公で、理屈とか抜きに己を貫こうとする様は好感が持てます。
アニメはどうしてこうなったという感じでしたが、コミックは原作の良いところは残しつつ冗長気味な展開をテンポ良くまとめていてかなりよくできていると思います。
俺TUEEE要素は無いので、強敵と戦う王道ストーリーを好きな人向け!
終わりに
かなり色々ななろうコミカライズを読んでみましたが、クオリティは本当に様々ですね。
原作が面白くても必ずしもコミックが面白いとは限らず、かと思えば原作はとても読めたものじゃない作品もコミカライズ化で大化けするのもあり、開拓していくのが面白いです。
まだまだ読んでいない作品がたくさんあるので、面白い作品を見つけたらどんどん紹介していきたいと思います。
【感想】魔女の旅々 は絵が可愛い以外は虚無感だけが残った
かんたん評価
オススメ度:★★☆☆☆
小さい頃から読んでいた冒険譚に憧れていたイレイナは、異例の若さで魔女の資格を取り、行く当てのない旅に出かける。
行く先々で何かしらのイベントが起こるっちゃ起こるのだけれど、特に感動的な話があるわけでもなく笑い話でもない。イレイナが解決するわけでもない話も多く、読み終えた後は虚無感だけが残る本。
以下、ややネタバレ多め。特に1巻の1話に関しては完全にネタバレをするため、これから楽しみにしている人はご注意ください。
こんな作品
あらすじ
家にあった冒険譚がお気に入りだった少女・イレイナは、世界中を旅することに憧れていた。
「魔女になったら旅に出てもいい」と母親に言われたイレイナは努力の末に異例の若さで魔女の資格を得る。
旅人となったイレイナは、行く当てもなく色々な国を渡り、様々な出会いを経験していく。
ここが魅力
表紙のイラストは可愛い
表紙のイラスト、可愛いですよね。
もうこの作品の魅力は表紙に集約されていると言っても過言ではないでしょう。
一方で作中のイレイナは割と毒を吐いていたりめんどくさそうな雰囲気を醸し出したりしている印象が強いので、表紙のような女の子を想像してはいけませんが。
ここがちょっと気になる
オチの無い話が多い
この作品の内容は色んな国に行って一期一会の出会いをするってのがメインだと思うんですが(それにしては再会することも多いけど)、本当になんとなく出会ってちょっとだけ関わるだけという、特にオチも感動も無く終わってしまう話が多いです。
イレイナが解決するわけでもなく、逆にイレイナの人生観に影響を与えるでもなく、なぁなぁで終わります。(そうでない話もあることはあるけれど…)
例えば1巻の1話は魔女見習いを目指す少女と出会い、成り行きでその少女の指導をするという話になります。ところが、実はその少女は結構実力のある魔法使いで、足りなかったのは一人で戦う勇気だった。その勇気をイレイナから貰った…的な話になるのですが、結局その少女が試験に合格するのはイレイナと別れてから何度も何度も挑戦してやっとという結末。
果たして少女に足りなかったのは本当に勇気だったのか? そもそもイレイナは少女に勇気を与えられたのか…? というなんともモヤっとしたものが残ります。
ところでこの1話はこの作品の中でもかなりまともな話の方で、中には『突如筋肉男がやってきてわけのわからないことを言いながらグダグダになって終わる』とか、『イレイナにはどうしようもないので放置して次の国へ旅立つ』とか、本当にオチも何もない話が当たり前のようにあります。
正直この作者が何を書きたいのかが始終わかりませんでした。
魔女の在り方が歪
魔女の旅々という作品内において魔法は割となんでもアリなレベルで非常に強力な力で、作品によっては奥義とされてもおかしくない『時間逆転』という魔法を魔女なら誰でも使えてしまいます。
これが使えるだけでも魔女の有用性は計り知れませんが、イレイナが自由に旅をしていることからわかるように国から特に制限されずかなり自由にされています。
それだけなら「平和な世界なんだな」と無理矢理納得できないこともないですが、どういうわけか魔女見習いの試験の内容は箒による浮遊と攻撃魔法です。
箒による浮遊と攻撃魔法です!
百歩譲って箒で飛べることが必要なのはわかりますが、世界観的にも争いに繰り出される感じはなさそうなのになぜ攻撃魔法?
どう考えても時間逆転の魔法をどれだけ使えるか試験した方が有意義だと思うのですが。
作風的にも攻撃魔法が使われることはほぼ無く(というかそもそも魔法使う場面がほぼ無いのだけれど)、読み進めるほどに試験に攻撃魔法が必要な理由がわからなくなっていきます。
一方で魔女が当たり前のように攻撃魔法を使えるのだとしたら、国でガッチガチに縛られていないと危なっかしいったらありゃしません。
言ってしまえば銃火器持ち歩きながら国々を旅しているようなものなのに、魔女が自由にのびのびと暮らしているこの世界は一体どうなってるんでしょうね。