【感想】さよなら異世界、またきて明日 は少し切なくも心温まる一期一会物語

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かんたん評価

オススメ度:★★★★☆
魔力の飽和によって人は結晶化して消えてしまい、白い砂漠に呑まれていく。そんな異世界に迷いこんでしまった少年・ケースケと、道中で出会ったハーフエルフの少女に・ニトが織り成す冒険ファンタジー。
旅の先々で出会う人たちにお世話になったりお節介をやいたり、そしてまた別れて…。と、切なさもありながら心温まるエピソードが魅力の作品!

以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

こんな作品

あらすじ

「わたしと、取引、しませんか」
魔力が過剰に溢れ、滅びかけた異世界で出会ったハーフエルフの少女・ニトから持ち掛けられた依頼。
それは、彼女の探し物を手伝って欲しいという内容だった。

人が結晶に変わり、街も森も消えゆく死にかけの世界。
現代世界から、この世界に迷い込んだ高校生のケースケは、元の世界に帰る術を探すため、蒸気自動車の助手席にニトを乗せて、生き残った人々との出会いや別れを繰り返しながら、旅をする。

その旅の果てにある、明日を迎えに行くために。

[引用:ファンタジア文庫特設ページより]

登場人物

ケースケ

突如異世界に迷いこんでしまった男子高校生。
元の世界に帰る方法を探すために、事情を知っていそうな黒服の男を探している。
年のわりに落ち着いた雰囲気をもっているが、時には相手の事情を考慮せずにずかずかと踏み込んでいくといった子供っぽいところも。

ニト

絵を描くことが好きなハーフエルフの少女。
魔力欠乏症という病気によりずっとベッドの上で生活をしていたため世間知らず。
皮肉にも世界が滅びる原因となった魔力飽和によって普通の生活をできるようになった。
母親の残した手帳に描かれている“黄金の海原”を探すために旅にでている。


ここが魅力

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寂しい世界での心温まるストーリー

異世界転移ものの作品は数多くありますが、その世界がもう取返しのつかない終焉に向かっている、けれども内容は希望の話というのはなかなか珍しいのではないでしょうか。というか僕は初めて見ました。

魔力飽和によって多くの人が結晶化し、そして消滅していく世界。お金など最早意味がなく、働く必要の無くなってしまった世界でそれでもあえて仕事を続ける者、旅に出る者、あるいは誰と関わるでもなく時を過ごす者。
世間知らずでお節介焼きなケースケ達は、そんな彼らを時には助け、時には助けられたりしながら、終わりに向かう前の世界の思い出に触れていきます。

終わりに向かうしかないという寂しさ漂う世界で、触れる思い出はどこまでも暖かく、なんだかノスタルジックな気分にさせてくれます。

丁寧なキャラの掘り下げ

ライトノベルにしては登場人物が少なめなこの作品、その代わりに意味のないキャラというのが一切登場しません。
誰もが終わった世界でも生き続けるための何かを持っていて、ケースケ、あるいはニトの価値観を大きく動かす重要人物です。
そんな彼らがどんな悩みを抱えているのか、どんな信念を持って生きているのか。そういった細かい情報が、作品を読んでいるだけで自然とわからせられてしまいます。

大事なのはいわゆるキャラの設定を説明されているわけではなく、何気ない会話やしぐさによって表現されているというところで、自然とキャラの掘り下げがされているのは素晴らしいですね。

どこか楽しそうなキャンプ

ケースケは元の世界に戻るカギを探すために、ニトは黄金の海原を見つけるために旅をしている本作ですが、人のほとんど残っていない終わりかけの世界で夜を過ごしているかと言えば、キャンプです。キャンプをしています。

とあるゆるいキャンプ漫画の影響か、はたまた別のきっかけがあったのかは知りませんが、最近流行ってますよね、キャンプ。

主人公のケースケは異世界にやってくる際にキャンプ用品を持った状態だったために、テントやランタンなどわりと現代的なキャンプ内容になっているのですが、だからこそリアリティのあるキャンプが描写されており、読んでいるだけでなんだか自分もキャンプをやりたくなってきてしまいます。

まさか、異世界ファンタジーものの小説でキャンプに関する細かい描写があるとは夢にも思いませんでした。

ここがちょっと気になる

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盛り上がりに欠ける

ケースケがやってきた場所には魔力があり魔法がある異世界だったのですが、いわゆる魔法らしい魔法が登場することはありませんし、化け物が襲ってくることもありません。
バトル要素は皆無ですし、この世界をどうこうしようと奮闘することもありません。
コンセプト的に仕方ないところではあるのですが、物語に派手さが無く、全体的に盛り上がりに欠けます。

とは言え、そうした空気感こそがこの作品の魅力にも繋がっているため、一概に悪いとは言えないと僕は思っていますが。

異世界らしさが薄い

この作品に登場する異世界は、過去にも主人公の世界から人が来ているために、よくある中世風のものに比べると文明が比較的発展しており、車やバイクなんかが普通にあったりします。
おまけに主人公はキャンプセットを持ち歩いているために、登場する品々からあまり異世界らしさを感じません。

また、この世界には魔力や魔法があるわけですが、肝心の魔法もほとんど登場することはありません。

特に1巻に関しては普通の人間しか出てこないので余計に異世界らしさは薄いです。
2巻になると獣人が出てきたり一応魔法が登場するので多少は異世界らしさが増すのですが…。



終わりに

バトルものでもラブコメでもない物語というのは、ちょっぴり人を選んでしまうかもしれません。
でも、時には心温まるお話が読みたいなぁなんてこともあるでしょう。
そうした時に一度手に取ってみてはいかがでしょうか。


【感想】失格から始める成り上がり魔導師道!はこの作品ならではの工夫が光る作品

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かんたん評価

オススメ度:★★★★☆
魔力量が少ないからと子爵家を廃嫡されてしまったアークスは、ある日、日本という国で過ごしたとある男の一生分の夢を見る。偶然にも異世界の知識を得たアークスは、その知識を使って両親を見返すべく成り上がる物語。
現代知識があるからと安易に無双したり作ったりするわけではなく、いろいろな制限の中で工夫していくストーリーが魅力的な作品!



以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

こんな作品

あらすじ

魔導師として軍に貢献してきた由緒ある子爵家・レイセフト家に生まれたアークスは、しかし、貴族としては非常に少ない魔力量であったためにわずか6歳にして廃嫡されてしまう。魔力を増やせないかと身体を酷使してみるも効果はなく、体力尽き気絶した彼は長い長い夢を見た。
それは、日本という国で暮らすとある男の一生を追体験するかのような夢。

夢から覚めた彼を待っていたのは、自分を邪魔者のように扱う両親だった。
あまりの扱いに両親との仲を復帰させることは不可能と悟ったアークスは、魔力が少ないなりに立派な魔導師になって見返してやろうと決心し、国定魔導師であり伯父でもあるクレイブに弟子入りを願い出る。
夢の男の知識を取り入れ、魔力が少ないなりにかつてない魔法でアークスは成り上がりを目指す!

登場人物

アークス・レイセフト

性別は男だが女の子のような顔の上に中々身長が伸びないのがコンプレックス。
レイセフト家の長男だったが、凡人クラスの魔力しか持たない。
廃嫡をきっかけにして日本のとある男の夢を見ることになり、この世界にはない科学知識を活用したオリジナル魔法を生み出す。

クレイブ・アーベント

アークスの伯父であり12人しかいない国定魔導師の一人。二つ名は【溶鉄】
レイセフト家の長男であったにも関わらずアークスの父親であるジョシュアの方が魔力量が多かったために家督を譲ることになってしまったが、クレイブの方が魔術師として大成してしまった。

スウ

どこかの貴族の令嬢。
魔法に対する好奇心がとても強く、独自の魔法を開発していくアークスと一緒に勉強する仲になる。
王家にしか知られていない古代アーツ語にも精通しているようだが、果たしてその正体は…?

ノア・イングヴェイン

元クレイブの従者にして現アークスの従者。
王立魔法院を首席で卒業した優等生で、氷結魔法の使い手にして細剣術も達者。

ここが魅力

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制限のある中で成り上がる過程が楽しい

この作品の魅力は何と言っても非常に上手いバランスで現代知識を活躍させているところでしょう。
新しいモノを作ったり今までにない魔法を作ったりと主人公ならではの大活躍があるわけですが、それで主人公が無双できるわけでもなく、少ない魔力なりに工夫していく感じが大変面白いです。

特に限られた言葉から目的の現象を突き詰めていく感じはまるで化学の実験のようで楽しいですね。

単純な転生ではないところに面白さがある

ぱっと見は異世界転生モノに見える本作ですが厳密には違って、あくまで主人公アークスは“とある日本人の人生を夢で体験した”だけであるというところです。

何が違うの? と思うかもしれませんが、かなり違います。
その日本人男とアークスの魂が同一のものかどうかは作中で明言されていないので不明ですが、アークスにとって出身地はこの世界であり、両親はレイセフト家であるということです。
よくある転生モノでは逆に新しい両親を他人のように見ている節があるため、真逆ですね。

で、これが物語にどんな影響があるかと言えばアークスはこの世界に愛着があり、そして自分を生んでくれた上に一時期は愛されていた両親に勘当されるという悲劇に会うわけです。
その衝撃は一般的な異世界転生モノとは比較にならないのはわかってもらえるでしょう。

また、実際に前世を過ごしてきたわけではなく、あくまで夢で見ただけでアークスが実際に生きた人生はあくまで子供相応な歳だということです。
だから同い年の友人とつるむことに違和感を感じないし、年相応に傷つくこともあります。

一見すると些細な違いですが、物語を楽しむ上では大きく影響してきますし、そのアクセントが作品の魅力を引き立てているように感じます。

ここがちょっと気になる

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キャラデザがコレジャナイ

これはweb版を読んでいたファンでも比較的多くみられた意見ですが、全体的にキャラデザのコレジャナイ感がすごいです。
アークスは女の子に“間違われるような見た目”と描写されているにも関わらず普通に男の子ですし、妹のリーシャの服装はバレリーナかなんかのようだし…。
従者のノアは服装は想像通りだったけどキャラは女性向けに出てきそうな感じだし…。
特にコレジャナイと感じたのは伯父のクレイブで、伯父ってよりその辺のにーちゃんじゃん!っていう。
まぁこれは僕個人の好みと違ったという話ではあるのですが、どうしても評価を下げざるを得ませんでした。

web版との違いについて

webで無料公開されているものをわざわざ高いお金を払って購入する価値があるのか、これから読もうという人にとっては気になるところですよね。

1巻に関してはweb版とそれほど大きな違いはありません。
とは言え使用する魔法が異なっていたり文章に修正が入っていたりと細かいところでブラッシュアップされています。
それに加えて書き下ろしのエピソードが一つ追加されています。
具体的にはノアがクレイブの従者になるきっかけのお話ですね。まさかこんな過去があったとは…という意外なお話になります。

2巻ではweb版と大幅に変わっており、約半分が書き下ろし版となっています。
また、これによって出会うキャラや起きるイベントに違いが生じたため、3巻以降大きく異なっていくんじゃないかなと思われます。
これから読むのであれば書籍版を読むことをオススメします。

終わりに

なろうでよくある異世界ファンタジーではありますが、その完成度は非常に高く、ストーリーもかなりワクワクするものがあります!
惜しむらくはキャラデザがいまいちな点ですが…そこは割り切るしかないですね。

願わくばこのまま続巻が出てくれることを。

【感想】『ライアー・ライアー』は設定は面白いが展開に粗が多すぎる

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かんたん評価

オススメ度:★★☆☆☆

ゲームを用いた生徒同士の対戦“決闘”の成績が生徒の人生を左右する特殊な学校で、実力は底辺にも関わらず偽りの頂点として君臨しなければならなくなった主人公の物語。
賭ケグルイとバカテスを混ぜたような内容でMF文庫的にはノゲノラの後釜を期待したのであろうが、肝心の決闘の展開や星システムの完成度が低すぎて残念。

こんな作品

あらすじ

学生同士による決闘(ゲーム)というシステムを試験的に導入している特殊な離島”学園島”<アカデミー>。
格上の者に勝利する度に星を獲得でき、その星の数が多いほど優遇される上に卒業後の未来にまで影響を及ぼすというテストの結果以上に重要な要素であった。

幼馴染の少女のことが忘れられなかった篠原緋呂斗は、思い出の少女に会うべく学園島の一つ“私立英明学園”に転校してきた。
ところが、転校初日に学園島でも頂点の7ツ星にして学園創始者の孫娘“彩園寺更紗”を決闘で負かして星を奪ってしまったことで今後の学園生活を揺るがす事態に。
彩園寺家のメンツを保つために偽りの7ツ星を演じなければならなくなった緋呂斗。
学園長の協力もイカサマも何でも使い、彼は嘘を貫き通すことができるか!?

登場人物

篠原緋呂斗

学園島に編入してきた転校生。
本来なら編入に必要な成績に満たない程度の学力しかないのだが、学園長曰く彼にはまだ見せていない力があるよう…?
ポーカーフェイスが得意。

彩園寺更紗

学園島の創始者の家系で学園島最強だった元・7ツ星。
ところが実際は色付き星の“赤”の効果で偽りの更紗を演じていた影武者だった。

姫路白雪

緋呂斗の補佐をするよう学園長から言い渡された生徒兼メイド。
≪カンパニー≫の長で、星取りゲームのシステムに介入してイカサマを行う。

ここが魅力

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テーマはワクワクする

“本当は実力が無いにも関わらず、最強を演じ続けなければならない”
強者の余裕を見せつけながら、実際には絶対的不利な状況で戦わなければならないという状況は、どんな方法で解決するか非常に楽しみになるもので個人的には大好物なテーマです。『ノーゲーム・ノーライフ』なんかが正にそれでしたね。
一方で勝利する方法に驚きや納得感が無いと全く面白くないわけですが…。

ここがちょっと気になる

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星取りゲームシステムがご都合過ぎる

本作品の肝となる要素“星取りゲーム”ですが、そのシステムがあまりにも作者の都合在りきで読んでいて萎えます。

例えば主人公の持つ星の数
入学時に星を一つ学校側から配られるという設定があるはずなのですが、主人公には“色付き星”のみを集めさせたいという作者の都合で主人公は星を貰うことがなく、彩園寺更紗から奪い取った色付き星“赤”のみで学園生活が始まります。

例えば7ツ星の偽装について
色付き星“赤”の効果で主人公はデータ上7ツ星という偽装を行うわけですが、どういうわけか7ツ星というランクの恩恵を受けることができません。
格下のプレイヤー情報を閲覧できるという設定やプレイヤーを有利にするための“アビリティ”の装備等、有利に働くものはなぜか1ツ星相応の権限しか与えられていません。
これだけなら見かけ上だけ7ツ星になっているということでシステム的には星1つですよと納得できるのですが、「決闘は上のランクの低い者からしか申請できない」という設定があるにも関わらず、星3や星4のプレイヤーから主人公に決闘を申し込むことができてしまいます。
このことからシステム的にも主人公のランクは星7と認識されているわけで…。


こんな感じで全体的に作者の都合在りきで組み立てられているせいで設定が穴だらけとなってしまっています。
あまりにも多い矛盾点に、作者はもちろん、編集は気付かなかったのだろうか。
1巻にしてルールが崩壊してしまっているため、もう修正のしようが無いけれど。

ゲームの展開がお粗末

本作品の目玉とも言える決闘≪ゲーム≫ですが、目玉であるはずなのにその展開があまりにもお粗末でガッカリします。

まず冒頭の彩園寺更紗とのゲーム内容が『睨めっこ』なわけですが、その決着が「事前に水に濡れて服が透けてしまっているのをゲーム開始後に気付いて恥ずかしくなったから」という、とても頂点だったプレイヤーとは思えない負け方をします。

その他のゲームにしても、天才ハッカーによるゲームシステムを直接いじるようなイカサマや、数値を10倍にしたり自分だけ2回行動できるアビリティが突如登場したりと、ゲームルールが意味をなさなくなるような要素がポンポン出てきます。


『賭ケグルイ』では相手がどんなイカサマをしているか暴く様が面白く、『ノーゲーム・ノーライフ』ではルールの裏をかいたり白の計算力で突破したりと、強引ながらもキャラの特性に沿った方法で勝利をしていて楽しめました。
ところがこの作品では主人公がイカサマをする側な上に、そのイカサマがただただ優秀なプログラマーがシステムハックを行うだけという非常に味気ないものになっています。


というかそもそもゲームの選択から戦法に至るまで全体的に対戦相手から頭の良さを感じられません。
「不公平なゲームはシステムで弾かれる」という設定があるにしても、セオリーを知らないと勝てないドマイナーなゲームなんていくらでもあるだろうし、公平であればオリジナルがOKなのだから自分しか知らないセオリーがあるゲームも作れるだろうに…。


“作者の頭を越える天才は書けない”とはよく言われます、まさにそれでした。

主人公の目的に共感できない

主人公が2年生にして学園島の学校に編入してきたのにはある目的があるからなのですが、その目的というのが「幼馴染の少女と再会するため」というもの。
これが特別な相手だったり何かしらのイベントがあったりするのなら納得がいくのですが、まさかの“名前も容姿もほとんど覚えていない”というのだからわけがわからない。

なんで名前も容姿も覚えていないような相手に会いたいのか?
名前も容姿もわからないのになぜ学園島にいるのがわかるのか?

百歩譲って情報を小出しにしているのならまだしも、2巻まで読んでも全然情報が増えないという。
これではただ頭のおかしいやつとしか思えず、全く共感できない。

終わりに

1巻を読んでいた時は粗がありながらも楽しめるかなと期待していたが、2巻になると更に粗が大きくなっていくのにはがっかりでした。
ゲーム部分だけでも制作協力者を呼ばない限りこの作品が面白くなることはなさそう。

【感想】天才王子の赤字国家再生術はゆる~い国家運営物語

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かんたん評価

オススメ度:★★★★☆
兵力に乏しく資源もない。そんな完全に詰んでいる状態の国家運営を任された王子が大国の属国になってさっさと隠居しようと画策するも、あれこれ裏目に出てなぜか国家運営が上手くいってしまうという物語。

“売国しよう”というタイトルのわりに国民のために政策を考えていたり、“天才王子”という割に天才的な発想によるものと言うよりは運とご都合展開によるものだったりと少々タイトル詐欺感はありますが、ゆるーく楽しむ作品としてはなかなか面白いと思います。

以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

こんな作品

あらすじ

資源は無い、人材は無い、兵力も無い。そこに追加してなんと王までもが病に伏せてしまうという状況に。
そんな弱小国家ナトラ王国を突如背負うことになった若き王子ウェイン。
今のままではどこかの国に戦争を仕掛けられて終わってしまうと天才故に悟ったウェインは、国民の幸せ(と自身の隠居生活)を願って大国の属国となるべく奮闘する。
ところが事態は思いもよらぬ方向へ進んでしまい…。

登場人物

ウェイン

文武に秀でたナトラ王国の若き天才王子。
ただしやる気がないため楽な方へ楽な方へと物事を進めようとする。

ニニム

ウェインの側近の美少女で白い髪が特徴。
他国では差別対象であるフラム族だが、ナトラ王国では重宝され王族の者は側近に一人フラム族が配置されている。

フラーニャ

ウェインの妹でお兄ちゃん大好きっ子。
ウェインのような神算鬼謀の才能は持たない代わりに、圧倒的なアイドル性を持つ。

ここが魅力

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思い通りにいかない展開

物語の基本は天才王子であるウェインの策略によって思い描いた方向へ転がされるという主人公Sugeeeものかと思わせておきながら、実はそうではない物語。
まぁ人間そうそう思い通りに、というか利益や効率重視に動かないですよね。
人の心までは計算できないウェインの思惑はどこかで崩れて予想外の方向へ?!

単純に凄い主人公が凄いことやって終わり! ではつまらないですからね。
どんな方向へ転がってしまうのか、どんな結末を迎えてしまうのか。
先が予想つかないワクワク感が魅力の一つです。

わかりやすい

戦記ものとか政治系の内容を扱ったものというのはどうしてもその作戦や展開の“正しさ”を重要視されがちな傾向があります。
まぁ実際僕も自分の得意分野だと正しさが気になってしまいますし。

でも、実際に読んでいる大多数は専門家じゃないのでいくら正しくても難しい言葉を使われて理解できなかったら意味がないんですよね。
その点、この作品はかなりわかりやすい解説で“それらしい”内容を話してくれます。
本当に正しいのかは専門家ではない僕にはわかりませんが、確からしい内容とわかりやすい説明があって納得させてくれるのが一番良いのではないでしょうか。
その分シリアスさというか、深刻さは薄れてしまうのですが、内容が理解できないまま進んでいくよりははるかに良いですね。

ここがちょっと気になる

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イラストのキャラが描き分けられていない

イラストについては「じゃあお前描けるのかよ」と言われたらぐうの音も出ないことから言及は避けているのですが、今回についてはちょっとだけ。(いや、小説も書けないんだけど)

表紙とか扉絵とかのカラー絵を見ているときはあまり気にならないんですよ。
というか、非常に素敵なイラストだと思っています。
問題はモノクロ絵。
色が付いてないと誰が誰だかわからない!

他の作品でもそういう傾向でしたが、イラストレーターのファルまろさんという方は基本的にどのキャラも顔と体が一緒なんですよね。
そこに加えて髪型がロングとかで被ると、色が無ければほぼ見分けが付きません。
文脈から「たぶんこの挿絵はこのキャラの絵なんだろうなぁ」と推測することはできますが、確信を持てないくらいにはなんだか似たり寄ったりな造形になってしまっています。

終わりに

ということで天才王子によって傾きかけた王国を再建していく物語でした。
天才がしっかり書けているかと言われるとちょっと疑問が残りますが、ゆる~く楽しむ分には笑いとシリアスの配分が丁度良く、ストレス無く楽しめる作品になっているかと思います。

【感想】八男って、それはないでしょう!はいかにもななろうテンプレ作品

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かんたん評価

オススメ度:★★☆☆☆

  • こんな作品

  • 突如異世界に転生してしまった主人公・ヴェンデリンは、なんと貧乏貴族の八男というお先真っ暗な始まりを迎えてしまう。
    というところから始まる物語ですが、速攻で膨大な魔力と豊富な魔法を手に入れてお金や地位もなんとかしてしまう、いわゆる「なろう」っぽさが満点の作品です。

    1巻までなら未開の地で工夫して生活している感があって比較的楽しめるかもしれません。
    アニメでやるであろう4巻までは人によっては読めるかもしれません。
    それ以降は度を超えたハーレムだったりジャンルを問わない知識無双だったりでかなり人を選びます。

    以下、極力ネタバレがかなりあるためご注意ください。

    こんな作品

    あらすじ

    平凡なサラリーマンだった男は、ある日気付けば貧乏貴族の八男ヴェンデリンとなってしまっていた。
    八男では領地も継げず家族の支援も期待できない。幸いなことにとんでもない魔法の才能を持ち、運よく優秀な師匠に出会い子供とは思えない力を得たヴェンデリンは、実家を出て冒険者を目指すことに。


    “なろうの異世界転生と言えばこんな感じ”というもののテンプレ的作品です。


    主人公は強力な魔法の使い手
    国も手こずる竜をあっさりと倒してしまう
    あっという間に貴族へと昇格
    一生かかっても使いきれないほどの資産を手に入れ
    ハーレムをつくる


    およそ男性の英雄願望を詰め込んだような内容で、これがほぼほぼ1巻に詰め込まれています。

    ここが魅力

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    史上まれにみるハーレム要員の多さ

    面白いというよりはすごいという内容になりますが、最終的に33人もの女性を嫁にするというフィクションとは言えかなり無茶なことをやってのけてくれます。
    「えぇ!? その人もハーレムに加えちゃうの!?」と思わず口に出してしまいかねない人までもハーレム要員に加えられます。
    ぶっちゃけ登場する女性はほぼハーレム要員になると思って間違いないです。


    ヒロインは一人で十分な僕としてはさっぱりわからないのですが、世の中には登場する女性キャラクターはことごとく主人公のものになるべき教という宗派の方が一定数いるようです。
    これは他の作品の感想欄にもいたので間違いないでしょう。

    そういう宗派の人にとっては、この『八男ってそりゃないでしょう』という作品は大変魅力的に見えるかもしれません。

    ここがちょっと気になる

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    物語の着地点が見えない

    本作冒頭での主人公の目標、それは「それなりに稼いで老後を楽に生きる」というものでした。
    ところがこの目標はわずか1巻、12歳にて達成してしまいます。
    八男という問題はどこへ行ったんだ!?


    …そこからの物語は主人公にも作品的にも目的や目標といったものはなく、王様に頼まれたりふって湧いてきた問題をひたすら解決したりしていくだけ。
    その調子で落としどころが見えないまま物語という名の“おつかい”が進んでいったと思ったらあるところで唐突に最終話が訪れます。

    このあまりの唐突さには伝説のギャグマンガ『すごいよ!マサルさん』を思い出しました。


    日常系やコメディ作品であれば明確な終わりを作りづらいというのはわかりますが、こうしたファンタジー作品であれば何かしら終わりを作れそうな気がします。
    ん? もしやこれは日常系作品だった…?

    作者の男尊女卑な観念がキツイ

    “作品の世界観的に男尊女卑な面がある”ということであればとやかく言うことではありません。中世っぽい文明ですし、そもそも異世界なんだからそうだと言われてしまえば最早何も言えないでしょう。それ故の問題とか発生したら、それはそれで物語として面白いですしね。

    ところがこの作品、そうした背景が“女の子側から乞わせてハーレムを築き上げる”という欲望を満たす要素としてしか使われません。「この人と結婚すれば将来は安泰だわ」という感じで。
    主人公側もこの“男尊女卑な世界だから~”というのを言い訳にどんどん受け入れていき、しまいには兄弟にまで一夫多妻を薦めだす始末。


    ところで、ぽんぽんヒロインというか嫁が増えていくわけですが、物語に深く関わってくる女性はほとんどいません。
    嫁(あるいは嫁候補)になった後はたまに会話に参加してくる程度で、居ても居なくても変わらない存在になってしまいます。

    この作品において女性はトロフィーか何かなんだろうなという感じがにじみ出ていてなんとも気持ち悪い。

    終わりに

    なろうのテンプレ的作品とは言われていますが、ここまで嫁を増やす作品も、国家予算レベルで富を増やす作品も正直他に見たことがないため個性的と言えば個性的でしょう。
    逆にこうした点がちょっと行き過ぎていると感じる人もいるでしょう。
    テンプレ的作品は他にもごまんとあるのですから。

    【3/22更新】Kindleセール情報まとめ

    実はAmazon Kindleでは結構な頻度でライトノベルの電子書籍セールが行われているんですが、人知れず始まり、そしてひっそりと終わっていくことが多々あります。
    こちらのページではそんな見逃しがちな分かり難いKindleのセール情報をまとめています。


    随時更新していきますので、このページをブックマークしておけばAmazonで直接サーチするよりもセール情報を見逃さずに済むかと思います。

    デート・ア・ライブ1~3巻110円(税込)&続刊50%OFF

    富士見ファンタジア文庫の名作デート・ア・ライブが完結されるにあたって最新刊を除くほぼ全ての作品が大幅値引き!
    外伝含め全31巻となかなかの長編なので、このセールの機会に揃えることをオススメします。

    デート・ア・ライブ (全31巻)

    八男って、それはないでしょう! 1~4巻セール

    アニメ化が発表されている『八男って、それはないでしょう! 』の1~4巻合本版が、合計で88円で販売されるセールが行われています。
    中盤辺りからかなり人を選ぶ内容となっていますが、この辺りまでは楽しめる人も多いかと思うので読んで損はないと思います。
    アニメ化範囲もこの辺りまでかと。

    【期間限定・合本版】八男って、それはないでしょう! 1~4巻 (MFブックス)

    TOブックスの名作発掘フェア

    TOブックスの一部の作品が最高100%オフ!
    とりあえず0円で配っている1巻を今のうちに購入しておくといいかも。
    ちなみに2巻以降は50%オフですが、Kindle Unlimitedでどれも読めるため、2巻以降も読む場合はKindle Unlimitedに入る方がお得かも。


      

    春の異世界・転生キャンペーン

    『小説家になろう』生まれの小説を中心に、異世界・転生系作品が50%オフ!
    セール期間:~3/22

    春の異世界・転生キャンペーン (3/22まで)

    ラノベ合本&イラスト集セール

    ほんのごく一部ですが、全巻合本のラノベとイラスト集が50%オフとなっています。

    ピックアップ

    這いよれ!ニャル子さん


    (」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!でおなじみのニャル子さん。
    クトゥルフ神話のキャラクターを美少女化したものでかなりギャグ寄りのラブコメ作品
    ストーリーを楽しむものというよりは笑えればいい人向け

    [合本版]這いよれ!ニャル子さん 全12巻 (GA文庫)
    ちなみにイラスト集もセール中!
    狐印イラストレーションズSpecial (GA文庫)
    狐印イラストレーションズ2 (GA文庫)

    異能バトルは日常系のなかで


    なんの変哲もない普通の文芸部だった主人公たちだが、ある日突然とてつもない異能に目覚めてしまうという物語。ただし、一番異能に憧れていた主人公が手に入れた異能はほんのり暖かい炎が出せるだけというものだった…。
    俺TUEEEとは真逆の作品。中二病を患った痛い主人公の横でとんでもない異能を無駄遣いする様を楽しむコメディ作品です!
    読者の中二心を抉る数々の出来事をご賞味あれ。

    [合本版]異能バトルは日常系のなかで 全13巻 (GA文庫)

    聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>

    とにかくヤバい作品。
    何がヤバいってタイトルの時点でヤバいしあらすじの『1人の身体に最強の≪前世≫が2つ――つまり超最強!!! ってことだろ?』というのもヤバい。
    おまけに作者のあとがきもなかなかのもの。
    世間を騒がせた愛すべきクソアニメの原作です。

    [合本版]聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 全22巻 (GA文庫)

    その他セール対象商品


         

    あとがき

    このほかまだまだセール対象商品はあります。
    随時更新していきますので定期的にご覧いただければと思います。

    【感想】今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 は願いを叶える流れ星をめぐる物語

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    かんたん評価

    オススメ度:★★★★☆
    二番目に大事なものと引き換えに願いを叶えてくれる都市伝説を題材としたラブコメ。
    小気味よいテンポで繰り広げられる幼馴染の妹・灯火と繰り広げるウザ可愛い会話に癒される一方で、少しずつ明らかになっていく灯火の秘密に胸が切なくなります。
    なぜか公式のあらすじには書かれていませんが、ココロコネクトや青ブタのような不思議要素があるので注意!
    それさえ気にしなければ非常に完成度の高い作品でオススメです。

    以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

    こんな作品

    あらすじ

    この街には《星の涙》という都市伝説がある。
    七河公園に降り注いだ七つの流れ星。それは星が流した涙。星の涙には無くしてしまった“一番大事なもの”を取り戻してくれる。ただし、二番目に大切な何かを失う代わりに…。

    かつて星の涙に願い事を託し、そして大事なものを失った伊織は、同じように星の涙に願いを託そうとする者を止めるべく今日も夜の七河公園へと足を運ぶ。
    そこで出会ったのは、かつて仲の良かった、そして今は交流の無くなってしまった幼馴染・双原流希の妹・灯火だった。
    彼女との出会いが星の涙とは関係のない偶然であればいいのに。そんな想いも虚しく、次の日の早朝に灯火は伊織の家を訪れた。


    「おはようございます、伊織くんせんぱい。かわいい後輩がお迎えに上がりましたよ!」


    登場人物

    冬月 伊織

    本作の主人公で流宮高校の二年生。
    感情が無く、心ない言葉ばかり口から出てくることから“流宮の氷点下男”と呼ばれているが、実際にはとある事件をきっかけに感情を表に出すこと、人と関わることを辞めただけ。

    双原 琉希

    小学生の頃に親友だった女の子。
    ある時から会う機会が減り、交流が無くなってしまった。

    双原 灯火

    琉希の妹で、伊織と同じ高校の一年生。
    昔は姉の後ろでこそこそしているような引っ込み思案な女の子だったが、久々に再開したところグイグイ来る小悪魔系の女の子になっていた。
    星の涙に何かを願おうとしていたようだが…。

    与那城 玲夏

    中学、高校と伊織のクラスメイトの女の子。
    伊織のことが大嫌いでいつも冷たく当たってくるが、そこには何か理由がある模様。

    遠野 駆

    小学校からの知り合いで高校でもクラスメイトだが友人未満。
    現在ほぼ唯一の伊織に絡んでくる男。
    軽薄で色んな女の子にちょっかいを出している。

    ここが魅力

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    好奇心を掻き立てるストーリー

    序盤からバンバン飛び出てくる謎の数々。


    ・主人公が星の涙に託した願いとは?
    ・灯火が抱えている秘密とは?
    ・なぜ灯火は主人公にグイグイ来ているのか?
    ・なぜ主人公は与那城にこんなにも嫌われているのか?


    序盤に多くの謎が出てしまうと置いてけぼりにされた感が出てしまうものですが、この作品の序盤は灯火との何気ない会話がメインのため全く気になりません。
    そんな中物語が進むにつれて少しずつ判明していく感じがなんとも絶妙です。
    しかも、これらの謎はほったらかしにすることなく、しっかりと1巻で判明するところもまた素晴らしい!

    唯一、星の涙について知っているらしい怪しい露店商についてだけは今巻ではわかりませんが、物語の根幹に関わりそうなので1巻ではわからないのは読んでいると予想できます。

    灯火ちゃんとの会話がとにかく楽しい!

    おー、なんですかなんですか、伊織くんせんぱい? ははーん、さてはわたしとペアで登校するのが恥ずかしいわけですね? 意外と初心で照れ屋さん……ギャップですね!

    本当はちょっと人見知りしちゃう女の子にも関わらず、どうしたわけか突然小悪魔系後輩キャラを演じる灯火ちゃん。
    そんな灯火ちゃんの絡みをウザそうに対応する伊織は小悪魔ズラを剥がすべく誘導していくと、あっさり素が出てしまう灯火ちゃん。

    「お、おかしいな。お姉ちゃんはモテたんだけどな……いったいわたしには何が足りないというのか」
    「いろいろとそれ以前の問題だよ。まずなんだ、小悪魔系後輩って」
    「う、うそ。そんなはずは……わたしはちゃんと、学校のせんぱいにアタックする方法をネットで調べて行っているというのにっ!!」

    こうした何気ない会話がテンポよく繰り広げられていて非常に微笑ましいです。

    終盤少々シリアスな展開が入ってくるためそこは自重しますが、基本的にはこの調子で進むためハマればめちゃくちゃ楽しめること間違いなし!

    ここがちょっと気になる

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    あらすじが説明不足

    この記事の冒頭でも言いましたが、公式から出ているあらすじ情報には《星の涙》の都市伝説に関する記述が一切なく、ウザ可愛い後輩とひたすらイチャイチャするラブコメかのように宣伝しています。
    ところが、いざ読んでみると中々に重い内容も含む非常に奥深い物語となっていることがわかります。

    一般的にはタイトル詐欺、あらすじ詐欺というのは騙されたという負の感情が出てしまうため、余程のことがない限りデメリットの方が大きいかと思います。
    そしてこの作品においては《星の涙》という不思議要素を隠しすことに何もギミック等は用意されておらず、余程のことはないというのも読んでいるとわかります。

    この作品に良さを感じたからこそ、わざわざ隠したりせずに素直に宣伝すればよかったのにと思わずにいられません。

    終わりに

    ウザ可愛い系後輩女子とのイチャイチャを楽しみつつ、この物語の舞台に生まれた《星の涙》の秘密を紐解いていく物語です。たぶん。
    星の涙は7つあるわけで、一つは伊織が使い、もう一つは灯火がもっていて…。
    ということは最低でもあと5つは物語があるということかな?