【2019年】今年読んだおもしろかったラノベ

2019年もそろそろ終わりを迎えようとしているということで、今年読んだラノベで面白いと思ったラノベを紹介していきたいと思います。
先月発表された「このライトノベルがすごい!2020」に挙がった作品のことごとくが刺さらなかったネコマですが、まぁこんなやつもいると思っていただければ。

ちなみに“今年読んだラノベ”なので、今年発売されたものはもちろん、そうでない作品も混じっていることをご了承ください。(最新刊は今年発売されているから間違いではない…かな)

今年読んで面白かったラノベ一覧

天才王子の赤字国家再生術

1巻刊行:2018年
最新刊:5巻

頭が良く施政者の才能もあるけれど怠け者な王子が、戦争に巻き込まれたくないから大国の属国になろうとあれこれ画策するも思わぬ方向に話が進んでしまい、結果として国を再建させた稀代の名君として持ち上げられ更なる戦禍に巻き込まれてしまうお話。

聡明な主人公が最適な作戦を練りドヤ顔しながら成功していく、というだけであればイラっとしてしまいますが、時に運に見放され、時に敵の感情任せな愚策により予想外な戦果をあげてしまうという全く望んでいない結果になってしまう様は、嫌味がなく楽しめるようになっています。

三角の距離は限りないゼロ

1巻刊行:2018年
最新刊:4巻

都合の良いキャラを演じることに嫌気がさした少年と二重人格少女が繰り広げる青春恋物語。
二重人格のうちの一人、しっかり者の秋玻に恋する主人公と、その恋を応援してくれるもう一つの人格・春珂。そんな春珂はどこか抜けていて守ってあげたくなるタイプで、そんな彼女だからこそ主人公に世話を焼きたくなってしまっていると思い込む秋玻。二人でありながら三角関係を築くその様は正に三角の距離は限りないゼロ!
“自分”というものに疑問を抱いたり、“助けてほしい”と素直に求められず見当違いな嫉妬をしてしまったり。思春期の少年少女というのはまさにこういうのだよなと思わせてくれる良作でした。

そのエルフさんは世界樹に呪われています。

1巻刊行:2019

世界樹の呪いによって自ら温かいご飯を用意することができなくなったエルフとお人好しの低級冒険者が繰り広げるコメディ色強めな冒険ファンタジー小説。
木の実を頭で受けなければ手に入らないとか、火の近くに寄ると消えてしまうとか散々な呪いを受けてしまったエルフたち。ところがその理由が世界樹の大事な実を根こそぎ食べてしまったとかかなりアホな内容だった! なんていうふざけた始まりなんですが、その呪いの原因や世界樹について、世界の秘密などなどかなりしっかりとした世界観とストーリーが用意されていて非常に面白い!
ゲームやラノベによく出てくるエルフの概念を壊すようなぶっ飛んだエルフたちだなぁと思って読んでいたら、むしろ細かい設定は原型であるトールキンのエルフを踏襲していたりしてびっくり。
ヒロインのエルフたちはかなりクセが強いけれど、慣れると気にならなくなります。

数字で救う弱小国家

1巻刊行:2017
最新刊:4巻

突如中世っぽい異世界に転移した理系青年が小国の危機を救うために数字の力で戦う、魔法も異能もない異世界ファンタジー戦記。戦記っていうか国家運営もの。

利益の求め方や戦力差を覆す方法などを現代の知識を使って計算して解決していくという大変珍しい内容。ところどころで登場する数学的理論はそれほど難しいものではない上に丁寧な解説ページまで用意されているので非常に読みやすい。
また、結局のところは戦っているのは心に左右される人間ということから計算外のことも度々起こり、理論は所詮『机上の空論』でしかないことも作中で表しているところが非常に良いですね。そうした計算外のことが起きる中で、それでも諦めることなく解決の道を探していく柔軟さも面白いところでした。

処刑少女の生きる道

1巻刊行:2019
最新刊:2巻

はるか昔、強大な力を持つ異世界人によってめちゃくちゃにされた世界であるが故に、異世界人を処刑することを生業とする処刑人という仕事が存在した。そんな処刑人の少女が、ある日その特異な能力によって決して死なない異世界人の少女と出会うことで始まる冒険物語。
登場人物ほぼ女の子で主人公も女の子という大変百合百合しい作品ですが、僕は百合に興味ないので個人的にはそこはむしろマイナスポイント。
まぁそれは置いておいて、強力な力を持った異世界人(地球人)のかつての暴走の謎とか、教会が隠している四大災害の真実とか、読み進める度に奥深い設定が顔を出してくるのが非常に良いですね。

14歳とイラストレーター

1巻刊行:2016
最新刊:7巻

流石に2016年に始まったものを紹介するのはいかがなものかと思いましたが、今年初めて読んで面白かったのだから仕方なし。
ラノベ絵師のお仕事とか日常についての内容で誤解を恐れずに言えば『妹さえいればいい。』のような作品。イラストレーターならではの苦悩や業界の裏話が書かれていたり、それを乗り越えるためのストーリーがめちゃくちゃ面白い!
女の子が多めなのはやはりMF文庫Jか。

常敗将軍、また敗れる

1巻刊行:2018
最新刊:3巻

あらゆる戦で負け続けているという悪い意味で有名な伝説の傭兵ドゥ・ダーカスが織り成す異色の戦記モノ。
魔法とか特殊能力とか、一騎当千というバランスブレイカーの無いある意味ファンタジーらしくない正統派な戦記なんですが、まさかの主人公が敗れるという今までにないストーリーが魅力。一応補足しておくと、ダーカスが弱いとか運が悪いとかで負けるわけではありません。
果たしてダーカスは誰のため、何のために戦っているのか。そもそもなぜ何度も敗れているのに未だ生きながらえているのか。そして常敗将軍という不名誉な二つ名の付いた傭兵がなぜ雇われるのか。そんなことを考えながら読み進めるとめちゃくちゃ面白いです!

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件

1巻刊行:2019

雨の中佇む美少女に傘を貸したら風邪をひいてしまったが、その子が実はお隣さんでかいがいしく世話をしてもらうところから始まるめちゃくちゃ甘い恋物語。
初めは素っ気なかった真昼が徐々に心開いていく感じがたまらないです。
終盤の二人でマ〇オカートやってたら機体がカーブするのと一緒に真昼が倒れてくるところとかもうヤバい。
登場人物少な目でヒロインは一人しかいない辺り、かなり潔いですね。物語がブレないので良いです。
ちなみに砂糖吐きそうなくらい甘々なので要注意。
あと高校生なのに一人暮らし(しかも二人とも)とか突っ込んではいけない。

かまわれたがりの春霞さん

1巻刊行:2019

嘘をつきまくればどんな願いも叶えてくれるという妖精と契約した少年が、好きな子と付き合うために隣の席の春霞さんに嘘をつきまくるという学園ラブコメ。
サブヒロインに魅力が感じられないとか途中までの主人公がクソ野郎だとかオチそれかよとか不満に思うところは色々あるけれど、それ以上に春霞さんが可愛くて切なくてヤバい。気が弱くておでことか巨胸とか隠してるところも、主人公に好かれるためにそれらコンプレックスを隠すのをやめて可愛くなろうとするところも、終盤の想いの吐露のところとかも全部可愛すぎてつらい。ほんとつらい。
単純に僕のツボに刺さっただけなので他人に薦めようとはこれっぽっちも思わないけれど、僕はめちゃくちゃ好き。読んでがっかりされても責任は持てない。

異世界でタコ焼き屋はじめたけど、わりと簡単につぶれた

1巻刊行:2019

タイトル通りの内容。
異世界に転移した主人公が現代の知識を活用してたこ焼き屋を開いたところチェーン店展開できるほど大成功したものの、とある事件によって一気に転落。ホームレスになってしまったというところからがスタートで、そこからの這い上がり物語です。
ギャグ寄りのラブコメで非常にライトな内容。この1冊で終わりっぽい? のでかなり駆け足だしキャラの掘り下げがほとんどされていないけれど、ゆるーく読む分にはなかなか面白いかと。
大きな感動や驚きはないけれど、不快なところもほぼ無くストレスフリーで読める作品でした。

嘆きの亡霊は引退したい

1巻刊行:2018
最新刊:3巻

文芸サイズだけどきっとラノベ枠でいいはず。
本当は無能なのに物凄い実力者と勘違いされてしまう主人公による勘違い系コメディ。
能力が無ければやる気もない、おまけに運も悪い主人公クライは何か行動する度に重大な事件に出くわしてしまうわけですが、関わってしまった者は敵も味方も関係なく酷い目に遭うというとんでもないストーリーです。更にクライの適当な発言はなぜか絶妙に事件の核心を突いてしまうため、「こいつ全部知ってて俺たちが苦労しているのを嘲笑っていやがる!」と恨みを買ってしまう不幸っぷり。
クライの行動や発言がどんなフラグになってしまうのか、常に想像の斜め上を行く展開でどれだけ読んでも飽きがきません。ただ一つわかっているのは、関わってしまった人たちはご愁傷様でした。
個人的に今一番推してる作品!

エリスの聖杯

1巻刊行:2019

無実の罪で処刑された性悪令嬢の亡霊と誠実だけが取り柄の地味な子爵令嬢が繰り広げる悪役令嬢もの。
ストーリーは亡霊スカーレットに無実の罪を着せた者への復讐を遂げると共に世直しなのかな? 1巻時点ではまだ不明。
スカーレットが持つ頭の良さとその性格の悪さならではの痛快さと、誠実であるという主人公コニーだからこそのハートフルな展開は非常によくできたコンビで、この二人ならではの物語が描けており非常に面白かったです。
女性向けっぽいけど男の自分でも楽しめました!

由比ガ浜機械修理相談所

1巻刊行:2019

これも電撃新文芸なんだけどたぶんラノベに入れてもいいよね。
人と区別がつかないほど精巧な女性型ヒューマノイドと、かつてその製造会社に勤めていた技術者が繰り広げるハートフルな恋物語。
そう遠くない未来にあり得そうな、人格のあるロボットに対する人権(ロボット権?)について触れた作品で、少々ショッキングな内容を含みつつも非常に心に響く優しくも切ない作品でした。
非常に丁寧な文章ですし、この1冊で完結しているため手を出しやすいと思うのでオススメ。

終わりに

今年はかなり積極的に新しいシリーズに挑戦してみましたが、思いのほか刺さらない作品が多く残念でした。
おまけに刺さらなかった作品に限ってこのラノにランクインされていてるのを見て、自分の感性は世間と大きくズレてしまっているのではないかと不安に…。
逆に何の期待もせずに選んだ作品が意外にも面白かったりと、なんだかよくわからないなぁ。
まぁ別に物書きになるわけでもないのでズレていても問題ないか。
似たような感性の人の参考になれば幸いです。