【感想】無職転生は最高に面白い転生物語!

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かんたん評価

オススメ度:★★★★★
人生に失敗し、ニート生活を送っていたクズが家族に追い出された先でトラックに轢かれ、異世界に転生するお話。
家族に恵まれ魔法の才能に恵まれた環境で心機一転、新たな人生を歩み始めるも、数々の困難に遭遇し時には挫折しそうになりながらも精神的に成長していく。やがて家族というものの有難みを知った彼は、前世の自分が取返しの付かないことをしてしまったことに気付く…。
この作品は徹頭徹尾ルーデウスという人物の人生についての物語で、異世界転生系のお話は数多くあれど、この作品ほど“二度目の人生”という点に意味があるものはそうそうないでしょう。

異世界転生系ということで無双するお話を期待してしまうかもしれませんが、そういうシーンはほとんどないのでご注意を。



小説家になろうに投稿された歴代の小説の中で最も人気と言っても過言ではない作品、それが「無職転生-異世界行ったら本気出す-」です。

ぶっちゃけタイトル見て避けている人は多いと思います。僕も避けていました。

トラックにひかれて異世界転生、そこそこ裕福な生まれで人生をやり直す。
これだけ見たらあまりにもありきたりな始まりですが、そこから繰り広げられる物語はありきたりとはほど遠い、心震わせるものとなっています。

今回はそんななろうの名作「無職転生」を紹介していきます。
極力ネタバレは避けようと思いますが、物語冒頭、それとストーリーにはあまり関係ない部分についてはネタバレを含みますので気にする人はご注意ください。

こんな作品

あらすじ

高校時代に遭ったいじめが原因で引きこもりになったニート(37歳)は、両親の葬式の日までも引きこもっていた。
あまりの態度を見兼ねた兄弟たちによって彼は家を追い出されてしまったが、職も無い上に金も無いためにこれからどうしようと考えていた矢先、道端で口論をしていた高校生たちの元にトラックが突っ込むのを見つけてしまう。
身を挺して救った彼だったが、自身はトラックに轢かれて死んでしまった。

そんな彼が次に目覚めたとき、彼は知らない土地でまさかの赤ん坊になっていた。
ルーデウスとして第二の人生を歩むことになった彼は、今度こそ後悔なき人生を送ろうと決意する。


トラックに轢かれて異世界転生する。転生先では魔法が使えるようになるといった冒頭こそは典型的なテンプレ展開ですが、その後の物語はオリジナリティ溢れる内容となっています。
物語は幼年期から始まり幼少期、少年期、青年期といった具合に少しずつ年を重ねていき、ルーデウスという人間の人生描いていきます。

登場人物

ルーデウス・グレイラット

本作の主人公で、元ニート。
幼少からの魔術特訓と体質によって魔力量はピカイチな上に無詠唱魔術の術を習得するなど魔術に関しては華々しい成果をあげるが、代わりに闘気を纏えず近接戦闘の才能は絶望的。
前世の記憶もあるため年齢の割には賢いが詰めが甘く失敗も多い。

パウロ・グレイラット

主人公の転生後の父親。
元冒険者の剣士で現在は村の騎士。
ちょっと短絡的な思考だったり女性関係にだらしないなど欠点もあるが、主人公の父親像に物凄い強い影響を与える。

ロキシー・ミグルディア

本作のヒロインの一人。
ルーデウスの家庭教師を務める魔術師でそこそこ腕の立つ冒険者でもある。
ミグルド族という魔族で種族柄見た目が幼いが、実年齢は前世含めたルーデウスと同程度とかなりの年上。

シルフィエット

本作のヒロインの一人。
ルーデウスの幼馴染で、エルフの血が混じっている。
ルーデウスが直々に魔術を教えた唯一の弟子であり数少ない無詠唱魔術の使い手になる。

エリス・ボレアス・グレイラット

本作のヒロインの一人。
ルーデウスの親戚で、彼女の家庭教師を引き受けることになる。
狂犬のような子で運動センスはあるが頭が悪い。


無職転生のここが魅力

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転生による人生への再挑戦

異世界転生をする作品はそれこそ腐るほどありますが、本来メインであるはずの“人生のやり直し”にスポットが当てられている作品は意外と少ないのではないでしょうか。
無職転生はそんな人生への再挑戦について書かれている作品になります。


小説を読み込んでいくとわかるのですが、魔力量が特別多い以外は実は転生前と後で主人公の待遇に大きな変化は無かったりします。

努力する環境を与えてくれる家

努力すればそれなりに成果が得られる肉体

実は前世でも主人公はそれなりに恵まれた環境にいました。
そんな環境にありながらも努力することを放棄し、どうしようもないクズになってしまった一度目の人生。

そんな彼が二度目の人生ではどう生きていくか、それがこの作品の見どころの一つとなっています。

「いやいや、人間そんな簡単に更生するかよ」

と思う人もいるでしょう。
いやまったくその通り。
ちょっと心機一転しようとか考えたところで人はそんな簡単に変われない部分があります。
実際に主人公は作中で何度も何度も失敗し、反省することもあれば変わらないところもあります。
そして、中には前世でも犯した致命的な失敗に再び出会うことも。


人と人との関係という武力や魔法ではどうすることもできない問題に対して、どのような行動を取るのか。
そうして主人公の本当の意味での成長を楽しんでみてください。


まるで生きているかのようなキャラクター達

この作品の魅力は何と言ってもキャラクター達によって繰り広げられるヒューマンドラマでしょう。
それぞれのキャラクターが取る行動や紡ぐ言葉、それらは時には主人公や読者の予想通りのものであったり、時には予想だにしないことをしでかしたりしたりもします。

でも、冷静に考えれば決して突拍子もない行動なんかじゃなくて、間違いなくそのキャラクターらしい行動なんですよ。
厳密には作者に動かされているはずなのに、読んでいてキャラクター達に感じる思いはとにかく自由で、あたかも生きているかのよう。

わかりやすく奥が深い設定

無職転生の舞台を簡単に説明すると、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界です。
SF要素のないファンタジー世界が舞台のゲームやマンガ、アニメを2,3作品も嗜んでいれば容易に思い浮かぶでしょう。
たったこれだけで大体説明できてしまうくらい“よくある”世界観。
こういう作品にありがちなスキルやステータスも無いため、非常にシンプルでわかりやすくなっています。


では世界観が借り物の量産品かと言うとそんなことはなく、魔法の仕組みから国同士の関係や状況、世界の成り立ちや歴史まで予想以上に細かい設定がされていたりします!(外伝を読まないとわからないことも多いけど)


個人的に素晴らしいなと思うのは、『中世ヨーロッパ風のファンタジー世界』というイメージさえ出来上がっていればそれだけで十分この物語を楽しむことができるうえで、細かい設定にこだわる人にもしっかりとした世界観が用意されているということです。
サクっと楽しみたい人にもこだわる人にも楽しめる。言葉にすれば簡単ですが、それを実現できている作品がどれだけあるか…。

ここがちょっと気になる

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パンツを信仰している主人公

この作品の主人公は性欲旺盛で作中でも割と頻繁に内心の変態性を吐露する機会があります。
個人的には性欲消失してるんじゃないかというような人間味のなかったり斜に構えている主人公よりは、これくらい正直な方が人間味があって好きなのですが、そうは言ってもロキシーのパンツをご神体代わりに祭るのは少々やり過ぎかなと思うところがあります。

様々なオタクジャンルに触れてきた身としてはこれに近いような展開は無きにしもあらずで抵抗なく読んでいましたが、苦手な人がいるというのも十分に理解できます。
それ以外の面で非常に素晴らしい作品なので、スルー出来るのであればぜひ読んでいただきたいところですが…。

終わりに

まだまだ無職転生の魅力を書ききれていない気がしてなりませんが、本当に、ほんとうに面白い作品なのでまだ読んでいない人はぜひ読んでみてください!

なろうで一番面白かった作品は何?って聞かれたら僕なら迷わず無職転生を選びます。
そんくらい好き!

ということでどうか無職転生をよろしくお願いします。