【感想】聖剣学院の魔剣使い は流行りを上手く組み合わせた優秀な作品

f:id:nekoma_doushi:20200220222144j:plain

かんたん評価

オススメ度:★★★★☆
かつて魔王の一人だった主人公は、人間の勢力に負けそうなのを悟り、ある女神との約束のために1000年後へと転生する。
目覚めた彼を待っていたのは、遥かに発展した代わりになぜか誰にも使われることが無くなった魔術と、謎の侵略生物ヴォイド、そしてそのヴォイドを倒すべく人類に授けられたと言われる“聖剣”という力だった。

前作『精霊使いの剣舞』もそうでしたが、一つ一つの要素を見るとどれもどこかで見たような設定ではあります。しかし、それらが非常に上手く組み合わされており、しっかりとオリジナルな作品になっているのがこの作者の凄いところですね。
新鮮さはありませんが、あらすじの要素が嫌いでなければ読んで損はない作品だと思います。

以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

こんな作品

あらすじ

当時魔王の中でも最強であったレオニスは、しかし神々に祝福された上になりふり構わない人間たちの勢力<六英雄>に圧されていた。
かつて人間だった彼を救い、魔王へと引き立てた反逆の女神との約束のためにここで負けるわけにはいかず、レオニスは自らを封印して1000年後に転生を果たすことになる。
およそ1000年後、謎の生命体“ヴォイド”を倒すべく立ち上げられた聖剣学院に通う少女・リーセリアは、偶然にも遺跡に眠っていたレオニスの封印を解いてしまう。
ところが、目覚めた彼を待っていたのは魔王の体ではなくまだ人間だった頃の肉体、しかも10歳という少年の姿だった。
そんな二人の元に突如現れるヴォイド。
レオニスのことをヴォイドに連れ去られた棄民と思い込んだリーセリアは、彼を守るべくヴォイドと戦おうとするが…。

登場人物

レオニス

かつて人間だったが、同じ人間に裏切られたことで死亡。反逆の女神に救われたことで不死の魔王となった。
転生に失敗したことで人間だった時(しかも10歳)の肉体になってしまい能力が大幅減。
魔術が得意で、レオニスが開発した魔術もかなりある。

リーセリア

聖剣学院に通っているものの、聖剣が現れない落ちこぼれ。
両親も聖剣使いだったが、ヴォイドに襲撃された際に敗れて死亡。
紆余曲折あってレオニスの保護者のような配下になる。

レギーナ

聖剣学院に通っている女生徒で、リーセリアの従者でもある。
砲撃型の聖剣を扱う学院の中でもかなりの実力者。
エロい。

聖剣とは

聖剣と言いつつ剣の形をしているとは限らず、いわゆる不思議な力で具現化するなんでもありの武器。
ヴォイドと戦うために神々が人類に与えた力と言われていて、エルフや獣人など他の種族には発現しない。真実は誰も知らない。

ここがイチオシ

テンプレでありながらオリジナルな作品

聖剣に魔剣が登場、魔王が主人公で子供に転生する学園ものと、悪く言えば既視感の強い作品です。
テンプレ要素がずらーっと並んでいますが、ではこの作品と一致する内容のものが他にあるでしょうか。
強いて挙げるとすれば魔王学院の不適合者がやや近いですが、内容を読めばコンセプトが全く違うことがわかります。
そう、テンプレをふんだんに活用しつつも、『聖剣学院の魔剣使い』は間違いなくオリジナルな作品なのです。

テンプレと言うとあまり良いイメージが無いですが、実際には共通認識で説明を省けるのは物語への理解度が深まりますしテンポも良くなります。
実際に本作は世界観の説明文抑えていて、それでいて概ね理解できてしまいうという読みやすさが売りと言っていいのではないでしょうか。

期待を裏切らないストーリー

本作は「世界征服を目論む魔王だけれど、なんだかんだピンチの女の子を助けて敵をやっつける」というまぁ非常にオーソドックスで何の捻りもないストーリーなわけですが、丁寧な下地のもとに作られた王道ストーリーは本当に面白い。

オーソドックスなストーリーと言っても、どうしてその展開になったのか、その時のキャラクターの心情はどんなものだったのか、どうやってヒーローを活躍させるかは作者の手腕が大きく影響してくるところです。
敵がただのおバカなだけだったらつまらないし、ヒーローがナチュラルに犯罪行為をしていたらドン引きです。

それを余計なノイズを入れることなく、それでいて読者の期待しているものを届けてくれるのが『聖剣学院の魔剣使い』という作品です。

ここがちょっと気になる

オリジナリティは薄い

あらすじを見れば予想できるかと思いますが、本作は何かのパクリではなく間違いなくオリジナルの作品ではありますが、一方で今まで見たこと無いようなオリジナリティという要素は限りなく薄いです。

ブームの走りという立ち位置ではなくブームに乗った作品であるため、「気になるなら読んで損はないよ」とオススメすることはできるのですが、「これは絶対読んでおいた方がいいよ!」と積極的に推せるほどのものは持っていないという惜しさも併せ持っています。

終わりに

設定や用語に目新しさはありませんが、「こういう設定が好み」という人であれば読んで間違いなし!という信頼感のある作品です。
好みの差は出てしまうでしょうが、期待を裏切ることはないでしょう。

【感想】城なし城主の英雄譚は王道なストーリーの物語

f:id:nekoma_doushi:20200204213930j:plain

かんたん評価

オススメ度:★★★☆☆
遥か昔に作られた遺跡・古城の主となり、自分だけのクランを設立すべく冒険者としての旅に出た少年の物語。

どこかで見たようなキャラクターたちにより、どこかで見たようなストーリーで繰り広げられる王道作品。
何かの二次創作を疑ってしまいかねない既視感がありますが、問題はオリジナルの設定があまり深く考えられておらずツッコミどころに溢れているというところ。

とは言えここまで王道一直線の作品も最近は珍しいため、そういうの好きな人にとってはいいかも?

以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

こんな作品

あらすじ

自分たちの城を持つことこそが一流の冒険者と言われる。
いくつもの城を持ち、クランを作り上げた育ての親である義姉に憧れ、少年・レオンは義姉の元を離れて冒険者として旅立った。

まだ誰にも攻略されていない小さな古城を見つけたレオンはソロで攻略をもくろむが、上手くいかずに何度も失敗を重ねる。
そんなある日、酒場で魔導士の少女・リシアと獣人王・ヴェルナーのいざこざに巻き込まれてしまい、挙句酒場の修理費まで負担させられてしまうレオン。
負担金を回収すべく騒動の発端であるリシアを追いかけたレオンだったが、肝心のリシアは無一文だった。
そこでレオンは負担金の代わりにリシアに自分のクランの一員になってもらうよう呼び掛けた。
ようやくパーティーが二人に増えたレオンとリシアは、さっそく古城の攻略に向かうのだが…。

登場人物

レオン

もともとは孤児で、古城持ちにしてクランのリーダーである女性に拾われ育てられた。
育ての義姉が逆ハーレムを形成していたことから、自身もハーレムクランを形成することを夢見る。
右手の甲に痣があり、何か秘密があるようだが…。

リシア

自称天才魔導士の少女。
人並外れた魔力を持つがノーコンのため役立たず。
横暴な態度だが意外とメンタルが弱く、レオンの何気ない言葉にいちいち傷ついてしまう。

ここがイチオシ

期待を裏切らない王道中の王道物語

正義感の強い少年がヒロインのピンチに駆け付けるっていう王道中の王道作品です。
初めから終わりまで全てが予想通りの展開で進むため、これを面白いと思うか退屈と取るかは人それぞれでしょうが、およそ読者の期待を裏切ることはないと思います。

ここがちょっと気になる

古城の設定が破綻している

この作品の欠点はこれに尽きます。

冒険者は古城の主、あるいはそのクランメンバーになってようやく一流という風潮があるようなのですが、古城を手にするのは冒険者だけではなく、実は商会クランなんかも古城を持っているようなんです。
そう考えると商会以外にも色々な職業の人たちが古城を持っていると考えるのが妥当なわけでして。
で、作品の情報から考えると大雑把に10人につき一つの古城を持っている計算になります。

え、古城の数ヤバくね?

この世界の人口がどれくらいかはわからないですが、まぁどう考えても見渡す限り城が建っていないとおかしいですよね。
読者に公表するかどうかは別としてファンタジー系の物語って世界地図が必須だと思うんですけど、この作者は地図を作らなかったのでしょうか。

メインキャラに魅力がない

一番魅力があるのが敵役で出てきたヴェルナーだけってどういうこと!?

何はともあれ主人公にもメインヒロインにも魅力がありません。

主人公は自己評価低い上に「俺何かやっちゃいました?」系でげんなり。ハーレムを目指すという割に女の子に対する執着があまりに薄く、おまけに鈍感と手に負えない。

一方のメインヒロインは頭悪くてキレやすくて自信過剰。それを補う何かがあるかと思えば何もないという。
ところでノーコンならばファイアボールなんて撃たずに広範囲に炎をまき散らすとか他の選択肢はなかったのかね。
キャラデザは非常に好みなのだけれど、まるパクりしたんじゃないかと言わんばかりにそっくりなキャラがスニーカー文庫から出ているなろう原作のラノベに出てきてしまっているのがなんとも…。

おまけに主人公、ヒロイン共に節々でなんか性格の悪さが滲み出てくるのでどうも好きになれません。
主人公は必ず正義であれとは言いませんが、この作品においては主人公ってヒーロー役なわけでして。

一方の悪役として出てきたかと思ったヴェルナーは横暴ではあるもののどこまでも芯の通った生き方をしているし、ちゃんと相手の生き方も尊重しているという実は一番魅力的なキャラというのはどういうことだろう。

終わりに

オリジナリティのある部分は設定が破綻し、まともな部分はテンプレをなぞったようなありきたりで予想も容易なストーリー。
あまりファンタジー作品を読んだことが無い人にとってはそこそこ楽しめるかもしれませんが、ある程度馴染みのある人にとってはかなり物足りない感じがしてしまうでしょう。

文章が破綻しているとかそういうことはないので、別の作品なら楽しめる可能性は十分あるかと思いますが、そうなると編集がどれだけ介入するかという話になってしまいますね。

【感想】ひきこまり吸血鬼の悶々はギャグとシリアスをくっつけた作品

f:id:nekoma_doushi:20200202140355j:plain


かんたん評価

オススメ度:★☆☆☆☆

とある事件をきっかけにひきこもりになった1億人に1人の美少女が、父親と皇帝の策略によって将軍になってしまい、他国との戦争に引きずり出される物語。

将軍として働かないと死んでしまう契約を結ばされてしまったので嫌々働く一方で実は死んでも簡単に復活できるゆるゆる世界だったり、弱いと思っていたら実は隠された力があったり、ギャグ路線かと思いきや唐突にシリアス路線に入ったりとなんかぐちゃぐちゃな作品。
GA文庫大賞の優秀賞にあまりこんなこと言うのはどうかと思うけれど何が面白いのかわからなかったです。

以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

こんな作品

あらすじ

名門吸血鬼の家系に生まれながら血が飲めないために体は小さく身体能力も低いというダメダメ少女コマリは、いじめが原因で3年間も引きこもりになってしまった。
ところがある日、父親の余計な気遣いによってコマリは戦の経験も無いのに将軍の一人に抜擢されてしまう。

無能であることがバレてしまっては部下たちから下剋上されてしまい殺されかねない。
弱者であることを見抜かれないようにコマリはメイドのヴィルと共に小細工を労していくのだが…。

登場人物

コマリ

本作の主人公。
吸血鬼なのに血が飲めず、体が小さい、運動能力無し、頭も悪いと良いところなし。
挿絵を見れば一発でわかるが、実は強いというオチ。

ヴィル

コマリ付きのメイド。
昔コマリに助けられた恩があり慕っている。
変態その1。

皇帝陛下

年齢不詳の美少女で、コマリの母親が好きだったらしい。
変態その2。


ここが魅力

f:id:nekoma_doushi:20191202210135j:plain

絵のクオリティが全体的に高い

ラノベは表紙は綺麗なのに中を読み進めていくと凄い手抜きな挿絵が入っていることが稀によくありますが、この作品においてはその心配はいりません。
元々同人活動でモノクロのマンガを描いているからでしょうか。表紙やカラーイラストはイラストレーターらしい描き方なのに対してモノクロの挿絵はマンガ的な描き方がされていてそれぞれの良さが出ています。

ここがちょっと気になる

f:id:nekoma_doushi:20191202210147j:plain

世界観が足を引っ張っている

この世界では頻繁に戦争が行われているのですが、魔核なる便利オブジェクトの存在により死んでも何度でも蘇ることができるというゆるゆる世界観になっています。

コメディ作品なのでこれくらいゆるい設定があっても全然かまわないのですが、問題はそれが作品の足かせにしかなっていないということです。

主人公コマリが引きこもりから脱却する原因となるのが「将軍として成果を上げないと腹に刻まれた契約の紋様が爆発して死ぬ」という契約を結ばされたからなのですが、上記の通り死んでも復活する世界なので全く強制力になっていません。
少なくとも「例え世界がひっくり返っても引きこもる!」と宣言する引きこもりが心変わりするにはあまりにも薄すぎます。
また、部下に舐められると下剋上されてこれまた殺される恐れがあるため、強者に見えるよう色々と努力(?)をするのですが、これまた死んでも復活する世界なので全然大した理由じゃなくなってしまっています。

ここまででもだいぶ足を引っ張っているのですが、ここから更に酷なことに。
なんとシリアス展開にするために魔核の効果を無効化して死んでも復活できないようにする武器が登場してしまいます。

え、1巻でそんなの出しちゃうの!?
だったら最初から復活できる設定無くてよかったんじゃね?

コメディに振りきれないプライドが見え隠れする

公式からの宣伝ではコメディがメインのように書かれていますが、実際に読んでみるとコメディ部分は作中の半分くらいで、もう半分はコマリが引きこもりになった原因とか敵キャラの辛い過去話といったシリアス側に思いっきり舵を切ってしまっています。

お話の構成が上手ければそれが作品の魅力になった可能性もありますが、残念ながらあまりに唐突な展開な上にその中心キャラも唐突に出現したキャラなので話に引き込まれるものがありません。
おまけにその内容も非常にありきたりな内容なので正直「ふーん」という感じです。

あとがきを見るに“女の子可愛い”を書いた方が人気出るとわかっていても、そこに本当に書きたいことも混ぜてしまったという感じでしょうか。
正直中途半端という感じが否めないので、萌えで行くのかストーリー重視で行くのかどちらかに振ってほしかったですね。
少なくとも現時点で両方を一つにまとめる能力は作者にないと感じました。

終わりに

だいたい★1つの作品って不快感が強くて読むだけでイライラする作品というのが多いのですが、この作品に関して言えば不快感はそれほどない代わりに恐ろしくつまらないという作品でした。
新人賞にも関わらず何も尖っていない作品というのは…。

【感想】竜の祭礼-魔法杖職人の見地から- は戦いに重きを置かない古き良きファンタジーの香り

f:id:nekoma_doushi:20200124232656j:plain

かんたん評価

オススメ度:★★★☆☆

魔法杖職人として偉大だった師の遺言に従い、とある少女が持ってきた壊れた杖を修理すべく旅に出る物語。
杖の修理に必要な竜の心臓を見つけ出すのが目的になるのですが、その過程で世界の秘密を少しずつ紐解いていく感じが面白い。剣や魔法のあるファンタジー世界が舞台ではあるものの、戦闘描写がほぼ無いです。イメージとしては狼と香辛料あたりが近いかも。
1巻で綺麗に物語が終わっているのも高評価(でも2巻が出るらしい

以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

こんな作品

あらすじ

伝説の杖職人ムンジルは、最後にして半人前の弟子イクスに看取られながら亡くなった。
そんな彼の元に、一枚の約定書と壊れた杖を持って東方の少女ユーイがやってくる。
「この杖。直してもらいます!」
師のとんでもない遺言により杖を修理することになったイクスは、故障の原因である杖の心材について調べていたところとんでもない事実に直面してしまう。
なんと、心材に使われていた材料は1000年前に絶滅したと言われている竜の心臓だった。

果たして本当に竜は存在したのか。そして、イクスたちは無事に竜の心臓を手に入れることができるのか。

登場人物

イクス

ムンジルの最後の弟子。
元々は捨て子でムンジルは師にして育ての親でもあった。
敬語をせず礼儀もなっていないためぶっきらぼうに見えるが、門下では最もまとも。
実は杖に関する知識や技術は凄い…?

ユーイ

東方生まれの褐色少女。
現在は王立学園の学生。
亡くなった父から託された杖であったが、訳あって壊れてしまった。
作中の数少ないまともな人間。

ここが魅力

f:id:nekoma_doushi:20191202210135j:plain

世界の秘密を探る物語

ファンタジー世界の物語というとどうしても剣と魔法によるバトルがメインになりがちですが、この作品の魅力は歴史や文化を解明して世界の秘密を探っていくところになります。

1000年前には絶滅したと言われる竜。
けれども師ムンジルの作った杖には竜の心臓と思われる材料が使われている。

なぜ竜は絶滅したと言われているのか?
一体ムンジルはどこで竜の心臓を手に入れたのか?
そして、なぜそんな希少な材料を使った杖に限って、無償で修理するなどという約定を残していったのか?

図書館や昔話を元にこうした疑問を少しずつ解明していくというちょっとミステリーっぽいところがあります。
そうしてこの世界ならではの文化が判明してくるというのもファンタジー世界ならではの面白さですよね。

話の根幹が一貫している

この作品は一冊まるごと『杖を直すための材料探し』に一貫しています。
とにかく話がブレないというのは言うのは簡単なのですが、それを実践できている作品というのは意外と少ないものです。
どちらかというと色々なところに視点が飛んでしまったり、様々な物語を同時進行させたりする作品の方が多いでしょう。
もちろん、それでうまく話を組み立てられていれば素晴らしいですが、逆にごちゃごちゃして何がしたいかよくわからない作品というのも非常に多いです。

その点、この『竜の祭礼』という作品はシンプルに杖を直すところに焦点を絞っていてわかりやすい。
その代わり視点としては少々狭まってしまうため、世界観についての情報が減ってしまうという弱点もありますが…。
少なくとも、書くべき話をしっかりと書ききっているという点を僕は評価したいです。

ここがちょっと気になる

f:id:nekoma_doushi:20191202210147j:plain

キャラの心理描写が薄い

この作品、杖を直すための旅がテーマではあるのですが、それと同時にイクスとユーイそれぞれが抱える問題についての物語でもあります。
物語が進むにつれてその問題の片鱗らしきものが見えてくるわけですが、本当に片鱗が見えるだけでそれについてどんなことを考えているのかがほとんど描写されていません。

というのも、三人称視点で語られる物語のためそもそも心理描写を語る場面がほとんど無く、それでいて僅かに入る心の声ですらもったいぶって本心を隠してしまいます。
答えをそのまま書くのは無粋と思っているのかもしれませんが、それならば会話なり仕草なりでヒントを出してくれないとわかりません。
結果として登場人物が少ないにも関わらず個々の心理描写が薄くなってしまい、イクスとユーイの物語ではなく文字通り竜の心臓を探すだけで終わってしまいました。

せっかく独自の世界観が機能していない

この作品の世界観はいわゆる中世ヨーロッパ風ではありますが、その中に作者なりに独自の世界観を築いているのが読んでいるとわかります。
わかるのですが、そのせっかくありきたりから外した設定が物語的に全然重要でないために無駄なことに労力を使ってしまったという徒労感だけが残ります。

エネドってなに?
狼人間がヴコドラク? ウェアウルフとか普通に人狼じゃダメなの?
木の名前までオリジナルにするせいで全然イメージ湧かないよ?

ついでに文中の漢字は、付いていくを随いていく、回復を恢復、体を躰と書くといった風に難しい字を使う傾向があるのですが、これまた使い分けをしているとか深い意味があるわけでもないという。

なんというか、作者のオ〇ニーを見せつけられたよう残念な気持ちになりました。
せっかく雰囲気が良いのにもったいない。

終わりに

バトル要素の無いファンタジーというのを久々に読めてなかなか楽しめました。
作品としても1巻でしっかりと終わっているところも良いですね。
ただ、あとがきを見ると2巻を執筆中とのことですが、正直この1巻で話的にはそこそこキリが良いですし、今回の物語によって世界が少し狭まってしまっていることを考えると果たして続巻を書くことが良いのか…という疑問があります。

【感想】董白伝~魔王令嬢から始める三国志~は丁寧で惹きこまれる転生物語

f:id:nekoma_doushi:20200118221800j:plain

かんたん評価

オススメ度:★★★★☆
毒舌が原因で仕事を失った元商社マンが、怪しい占い師の策略によって三国志で悪名轟かせる“魔王”董卓の孫娘、董白に転生してしまうお話。
よくある歴史改変ものですが、転生先が何の力も持たない少女である上に頼みの綱の三国志の知識はところどころ史実と違う部分があり、おまけに本来亡くなるはずの少女が生き残ることでズレは更に大きくなり…と、予想不能な展開にワクワクさせられます。
三国志の知識がなくても十分楽しめる非常に丁寧な作品なので、戦記ものが好きな人にはオススメです!

以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

こんな作品

あらすじ

自身の毒舌が原因で仕事を辞めるはめになり、心を病んでしまった元商社マンの城川ささね。
ある日、謎の占い師に出会った彼は不思議な力によって意識を失ってしまう。

目覚めた彼を待っていたのは三国志の世界。しかも、その身体は悪名高き“魔王”董卓の孫娘、董白であった。
混乱状態の彼を出迎えたのは再びあの謎の占い師。その正体はなんと董卓の侍女・貂蝉。
彼女がささねを呼び出した理由は、天下統一によって乱世を鎮めるため。一方で何の力も持たない幼女の体で天下統一など無理だと拒否するささね。
ところが、史実によればじきに董卓は殺され、粛清によってその一族も処刑されてしまうことを思い出してしまう。

このまま何もしなければバッドエンドまっしぐら。
生き残るために中華圏からの脱出を謀るささねだったが、事態は少しずつ史実とは違う方向へ。
果たしてささねこと董白は天下統一を成し遂げるのか、それとも…。

登場人物

董白

元商社マン・城川ささねの転生先。
肉体に精神が引っ張られており、最早ただの幼女。
董卓の孫娘ということはわかっているが、どのような生涯を送ったかは歴史書にはほとんど何も残されていない。
特別な力は何一つ持っていないが、城川ささねの持つ知識と忠臣の力で生き残りの道を探っている。

貂蝉

ささねを三国時代に転生させることになった占い師にして、董卓の愛人。
色々秘密を抱えていそうだが、1巻では謎のまま。
三国志に登場するものの架空の人物だったらしいが、もしかすると本作でも…?

呂布

三国志最強の男の一人で、本作でもめちゃくちゃ強い!
ただし、史実では董卓暗殺の首謀者であり残念ながら敵。
チャラくてウザい。

李傕

董卓配下の武将にして董白のよき(?)理解者。
邪教崇拝をしているかなり危ない人。

馬超

勇猛な武将のはずだがまさかの女体化。
ついでに女の子好きという大変変態な人物にされてしまった。
本来の馬超ファンには申し訳ないがなかなかいいキャラをしている。
本作において董白が生き残るための重要人物。

ここがイチオシ

不遇から始まる転生

主人公の転生先は何の力も持たない幼女。
しかも、その祖父は暗殺されることがわかっている董卓という負け陣営。
更には粛清により一族もろとも始末されることがわかっているという絶望的状況。

転生系は何かと優遇されがちな展開が多い中、大変不遇な状況から始まるのが本作の特徴です。

しかも、主人公が転生してきてしまったせいか、それともそもそも違う世界なのか、史実とは異なる展開が続くために主人公の持つ三国志の知識も参考程度にしかなりません。
歴史の道しるべが無い中で、無力な幼女はどうやって生き残りの道を探していくのか、非常に先が気になります。

予備知識不要なわかりやすく丁寧な内容

三国志がテーマと言うと「三国志よく知らないしなー」なんて思う人は結構いるんじゃないでしょうか。
かく言う僕がそれで読むのを躊躇していたのですが、読んでみたら全くの杞憂でした。
見慣れぬ用語や人物が登場する度にどんな役割なのか、どんな人物だったのかをわかりやすく説明してくれます。

この説明が必要な情報を最小限で教えてくれるために話の流れを阻害することもなく大変読みやすい!

例えば宦官の説明はこんな感じ

宦官といえば、皇帝や王族の家族の世話をする特殊な召し使いのことだ。彼らは皇帝の妻や愛人たちがいる後宮で働くため、間違いを犯さないよう男性器を手術により切除されている。

こういうのって詳しい人ほどダラダラと説明してしまいがちなので、この簡潔さは素晴らしい。

流石に三国志が昔の中国の物語って程度の認識はあった方がいいでしょうが、恐らく知識ゼロでも楽しむことができます!
ていうか僕自身が「呂布はなんかすごく強かった人!」くらいの知識しか持っていないのに楽しめていますので。

ここがちょっと気になる

主人公の毒舌設定が活かしきれていない

本作の主人公には普段は礼儀正しく振舞えるけれど、精神的に追い詰められると口が悪くなるというか、攻撃的な口調になってしまうという厄介な体質を持っています。

この設定自体は別に構わないのですが、これが初めて発揮されるところが非常に微妙でして…。
毒を吐いているというよりはひたすら煽っているという感じで、しかもその煽りがあまり上手くないと言いますか…。

2回目以降の煽りはそんなに悪くないのですが、それはそれとしてこれもう口が悪いっていうより煽り癖があるって方が正しいんじゃないかとモヤモヤしました。

まぁちょっと難癖っぽくなってしまいましたが、逆に言うとこれくらいしかツッコミどころは無かったんじゃないかなと思います。

終わりに

一口に転生ものと言っても設定がちゃんとしているだけで物語への没入感が全然違うなぁと実感できました。
設定が良ければ面白いとは限りませんが、董白伝に関して言えば物語もしっかりと面白かったです!
まだ1巻のため物語的にはまだまだ序盤なので、今後の展開次第では評価が大きく変わってしまうと思いますが、今のところは超オススメの1冊!

【感想】『嘆きの亡霊は引退したい』は斜め上展開を楽しむ最高に面白いコメディ

f:id:nekoma_doushi:20200112220738j:plain

かんたん評価

オススメ度:★★★★★
トレジャーハンターと呼ばれるいわゆる冒険者的な者たちが大暴れする時代。世界最強の英雄を目指すべく才能溢れる幼馴染たちとパーティーを組んだ結果、自身は無能にも関わらず周囲の評価だけはとんでもなく高くなってしまった男の物語。
運がいいのか悪いのか、次々と重大な事件を引き寄せてしまう主人公と、それに振り回されて尻ぬぐいまでされてしまう周囲の者たちによるコメディテイストな作品です。
思わずクスクス笑ってしまう、なんだか癖になる面白さがある名作!

以下、極力ネタバレを避けていますが、全くないわけではないのでご注意ください。

こんな作品

あらすじ

英雄になることを夢見て幼馴染たちと共にトレジャーハンターを目指していた少年・クライ。
才能を開花させ、どんどん強くなっていく幼馴染たちの一方で、クライは一般人に毛が生えた程度の実力しか身につかなかった。次第に危険度を増す冒険についていけずパーティー脱退を決意するクライだったが、幼馴染たちはそれを許してくれなかった。
「お前、特に役割ないんだからリーダーやれよ」

かくして仲間たちの目覚ましい活躍によって帝都トップクラスに登り詰めたパーティーのリーダーはその実力を誰にも悟らせないことから、いつしか『千変万化』の二つ名で恐れられることになる。

登場人物

クライ・アンドリヒ

本作の主人公。
帝都に3人しかいないレベル8の高レベルハンターにして正体不明『千変万化』の二つ名を与えられた男。
その実態はただのクソ雑魚で何の潜在能力も無い。おまけに頭も悪いので口から出る言葉はいつも適当というどうしようもない奴。口癖は「うんうん、そうだね」
常々ハンターを辞めたいと思っているが、周りがそれを許してくれない。

ティノ・シェイド

本作のヒロイン(?)
嘆きの亡霊のメンバーの一人リィズの弟子であり、ソロでレベル4に登り詰めた中々の実力者。
クライのことを「ますたぁ」と呼ぶのが特徴でなぜか彼を尊敬している一人。
クライの悪運に巻き込まれてしまうキャラの筆頭で、恐らく作中一番酷い目に合っている可哀そうな子。

アーク・ロダン

嘆きの亡霊のライバル『聖霊の御子』のリーダー。
『銀星万雷』の二つ名を持つレベル7ハンターで、かつての英雄ロダンの再来と噂されるほど。
強さで言えば帝都でもトップクラスな上にイケメンで礼儀正しい。クライに頻繁に厄介ごとを投げつけられても嫌な顔をしないという懐の深さを持つ完璧キャラ。

リィズ・スマート

嘆きの亡霊のメンバーの一人で『絶影』の二つ名を持つ盗賊。
非常に気性が荒く喧嘩っ早いという致命的な欠点があり、彼女を止められるのは嘆きの亡霊のメンバーだけ。
幼馴染メンバーみんな大好きだけど、その中でもクライのことが特に大好き。

シトリー・スマート

嘆きの亡霊のメンバーの一人で『最低最悪』の二つ名を持つ錬金術師。
リィズの妹。一見すると大人しく常識人のような振る舞いをするが、手段を選ばないことから実はリィズよりヤバい人。

ガーク・ヴェルター

探索者協会の支部長で元レベル8ハンターの強者で超強面。
クライが巻き起こすあれこれで迷惑を被っている苦労人で、よく怒鳴り散らしている。
あれこれ言ってはいるが実はクライのことを信頼している(その信頼的外れですよ…)

嘆きの亡霊とは

嘆きの亡霊(ストレンジ・グリーフ)は以下7名のメンバーで構成されている帝都で最も勢いのあるパーティーで、結成してわずか5年でリーダーのクライがレベル8にまで成り上がっている。

リーダー:クライ・アンドリヒ
剣士:ルーク・サイコル
聖騎士:アンセム・スマート
盗賊:リィズ・スマート
魔術師:ルシア・ロジェ
錬金術師:シトリー・スマート
盗賊:エリザ

ちなみにハンターのレベルは10が最高で世界に3人しかいない。
メンバーはエリザを除き幼馴染で結成されている。
クライの不運と適当な発言によって地獄のような日々を過ごした結果、凄まじいまでの実力を身に着けた。
ついでに酷い目に遭うのはパーティーの育成のためと都合の良い方へ勘違いしてしまっている。

笑っているようでどこかこの世を嘆いているような骸骨の仮面がパーティーシンボルで、この仮面と『嘆きの亡霊』というパーティーネームからレッドチームと勘違いされることも。ちなみにパーティー名もシンボルもクライが考えたもの。

ここが魅力!

f:id:nekoma_doushi:20191202210135j:plain

斜め上過ぎて予測不能なご都合展開

あらゆる事件に先回りし、事態を収束させるのに必要な人材を派遣、そして核心に迫る助言を残していくというレベル8のハンター。
「クライ・アンドリヒには未来が見えている」
それがギルド長をはじめ一部の者たちが信じている主人公の能力。


だがしかし、真実は運が悪い上に頭も悪いせいで向かう先々で事件巻き込まれてしまっているだけという。

何気ない行動や発言が次々フラグになっていき、その騒ぎに敵も味方も巻き込まれていく様が痛快なコメディ作品です。
なぜかクライだけは痛い目に遭わないご都合展開なのですが、結果としてその全てがクライの手腕によるものだと勘違いされてしまうわけでして。ハンターとしての評価は上がるのに、みんなが大変な目に遭うのを楽しんでいるクズとして周囲からの好感度は下がっていく残念な感じもたまりません。

個性豊かなキャラクターがたくさん!

内容が個性的なのもさることながら、この作品はキャラクターも大変個性的です。
主人公からして何の才能もない上にめんどくさがり屋でおまけに多額の借金を仲間にしているというクズっぷり。
嘆霊のメンバーも職業こそは剣士とか魔法使いとかよく見るものですが、その性格とか行動はとてもじゃないけれど他作品では見たことないような者たちばかりで、短気で騒がしい盗賊から体長3m越えで厳ついけれど寡黙で心優しい守護騎士までさまざま。

個人的に気に入っているのが、敵キャラクターの方がしっかりしているところ。
嘆霊メンバーが「普通に考えたらそんなことしないよね」ということを平気でやってくる中、敵キャラは「普通に考えたらこういう行動とるよね」という常識的なことをしてくれるので見ていてほっこりします。
敵キャラの方が常識人とかこの作品どうなってんだ!?

web版と書籍版の違い

本作は小説投稿サイト「小説家になろう」で連載されている作品を書籍化したものになります。
書籍版がどのようになるかは作品によって大きく異なるのですが、本作に関して言えば以下のような違いがあります。

・物語の流れはそのままに文章がブラッシュアップ
・ところどこに追加の描写も
・巻末に書き下ろしの追加エピソードが!

追加エピソードはそれほど珍しくはありませんが、文章をここまで書き直すのは中々珍しいですね。
web版は細切れの作品として読みやすく作られているのですが、その反面、話と話の間に省略されてしまっている描写があるのが読んでいて気になります。
書籍版は全体の話の流れはそのままに“小説として読んで”面白くなるように書き直されています。

これから読むのであれば断然、書籍版をオススメします!

終わりに

ということで『嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~』の紹介でした。
コメディ作品の小説なので読んでもらわないとなかなか面白さを伝えられないのが難点ですが、実はコミカライズもされており、既に1巻が発売されております!
マンガからの方が入りやすいという方はこちらもどうぞ。
コミック版も絵がめちゃくちゃ良いのでオススメです!

【2019年下期】好きラノ投票作品の紹介

好きラノ投票作品一覧

数字で救う! 弱小国家(4) 平和でいられる確率を求めよ。ただし大戦争は必須であるものとする。

ラノベには珍しいまさかのヒロインとの結婚+子供まで誕生するという衝撃の展開を見せつけてくれた巻。
それに加えて本格的に強国との戦争が始まり非常に先が気になる展開に!
この巻だけでも面白い上に先が非常に気になるので選出。

【19下ラノベ投票/9784049126716】

西野 ~学内カースト最下位にして異能世界最強の少年~(6)

リサちゃんのパパの衝撃展開やガブリエルから「人間性が漏れ出る」という名言を生み出したシリーズ屈指の巻でした。
7巻も既に発売されていてあちらも面白いけれど、2巻毎に一つの物語が完結するというこの作品の特性上、ちゃんと物語の完結した6巻の方が良い巻だったということでこちらを選出。


西野の紹介記事
nekoma-grimoire.hatenablog.com

【19下ラノベ投票/9784040658629】

かまわれたがりの春霞さん 隣の席のあの子は俺の嘘が好き

内容が滅茶苦茶面白いというほどではないけれど、オリジナリティがしっかりあったのと、何より春霞さんが可愛すぎたので選出。

かまわれたがりの春霞さんの紹介記事
nekoma-grimoire.hatenablog.com

【19下ラノベ投票/9784040641928】

処刑少女の生きる道 ―そして、彼女は甦る―

異世界転移の内容を逆手にとったオリジナリティのあるストーリーと、非常に丁寧な文章力が魅力の作品だった。
2巻は出稿直前に大幅に書き直しをしたらしくかなり荒い文章になっていたため、良さが半減してしまっていたのでこちらを選出。

処刑少女の生きる道の紹介記事
nekoma-grimoire.hatenablog.com

【19下ラノベ投票/9784815601188】

天才王子の赤字国家再生術(5) ~そうだ、売国しよう~

強敵グリュエール王との戦いが面白い本巻。
このまま面白さが続いてくれればいいが、展開に無理が出始めているような…。

【19下ラノベ投票/9784815603809】

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (14)

長いこと待ちに待った最終巻。
元々面白い作品だとは思っていたけれど、最近出ているラブコメの残念具合を見てからこれを読むと本当に完成度が高いなと改めて思い知った。
ながーく引っ張ってからのこの結末は賛否両論あるとは思うけれど、個人的には雪ノ下と由比ヶ浜の可愛い一面が見れたので大満足。

【19下ラノベ投票/9784094517811】

董白伝 ~魔王令嬢から始める三国志~

個人的に今期のダークホース。
全く期待していなかったにも関わらず、年末最後にこんなに面白い作品が出てくるとは…。
しかも題材はありふれすぎている異世界転生で。
土台が非常に丁寧に出来ているため、ツッコミどころもなく安心して読めるのも魅力。続きが非常に気になる。

【19下ラノベ投票/9784094518252】

常敗将軍、また敗れる(3)

戦いに敗れるにも関わらず常に誰かを救い続ける稀代の英雄の物語。
今巻は今までとはちょっと異なり政争がメイン。いつもとはちょっと異なるダーカスの活躍や、ダーカス以外の活躍もあるという新しい一面が見れるという面白さも。
敗戦というテーマにも関わらず内容が単調にならないのはすごい!

常敗将軍、また敗れるの紹介記事
nekoma-grimoire.hatenablog.com

【19下ラノベ投票/9784798619422】

-インフィニット・デンドログラム- 11.栄光の選別者

レイたちがゲームを始める前、王国を襲った災害『三極竜グローリア』の戦いを描いた巻。
ついにクマ兄さんの全力が明らかに!
熱い!とにかく熱い!


Infinite Dendrogramの紹介記事
nekoma-grimoire.hatenablog.com

【19下ラノベ投票/9784798620411】

嘆きの亡霊は引退したい~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~ 3

Web連載小説にも関わらずweb版と小説版で異なった面白さを届けてくれる本作の第3巻。
内容を知っているともう表紙からして面白い!
今まで常に大らかだったアークすら慌てさせるという展開で、勘違いのレベルも上がってきてこの作品が本格的に面白くなってきたという感じ。とにかく最高!

【19下ラノベ投票/9784896379129】

終わりに

狼と香辛料XXIIなど、対象作品で好きなシリーズにも関わらずまだ読んでいない作品があって、そうした作品を選出できなかったのはちょっと悔しいです。
というか、どうせならこういうのは新人作品とかを積極的に推していきたいですね。
来年はもっと新作に手を出していきたいと思います。